2011年04月06日

イカナゴ〜死の海への序章

イワシという魚がおります。
あの魚は「海のコメ」あるいは「海の小麦」と言えるんじゃないでしょうか。プランクトンは「肥料」だと考えると、「収穫」を心待ちにしている海洋生物にとってイワシは主食の米ですな。日本有数のイワシ処は房総から常州沖で、三陸にいたってブランド化します。


常陸の北端(北茨城)でイカナゴから放射性物質が検出されました。


>茨城県北茨城市の大津漁協は5日、同市沖でとれたコウナゴから、魚類の暫定規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を超える510ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。

>これを受け、県は同日、県内の漁業関係者にコウナゴ漁の操業自粛を要請し、各漁協は当面の間、操業の自粛を決めた。

>大津漁協によると、このコウナゴは4日に大津港の沖合で捕獲したもの。北茨城市の平潟漁協では、1日にとれたコウナゴから4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたが、同漁協の南に位置する大津漁協のコウナゴの放射性ヨウ素は1700ベクレルだった。



イカナゴという魚は非常にイワシと似ております。
小さくて栄養価がとても高い。
海に生きる生物達にとってイワシに匹敵する魚。ただしイワシと違って回遊せず砂に潜っておりますので捕食は容易ではありませんでしょう。

イカナゴはキビナゴなどと混同されやすく、それほど詳しくない方はよく分からないと思いますので違いを書いておきます。

キビナゴ(吉備奈子)はニシン目ニシン科で、コハダやママカリと同じくイワシの仲間になります。イワシの類では一番小さい魚で「キミイワシ」とか「ハマゴ」とも呼ばれます。夏に産卵しイワシですので外洋を大群で泳ぎます。九州で好まれ新鮮な奴は刺身で旨い。酢味噌とかネギ生姜が合います。


イカナゴはその習性(昼は群れで泳ぐが夜は砂底に潜る)から、イワシではありませんで、スズキ目イカナゴ科イカナゴ属の魚。
関東ではイカナゴとは呼ばず「小女子(こうなご)」と言うのが一般的。
東北では「めろうど」。
イカナゴの語源は「糸のように細い小魚」という古語にあるそうです。


この魚の本場といいますか好まれるのは瀬戸内海沿岸一帯。
兵庫の明石ではこれを佃煮にして、名物『釘煮』に。
その形が尖った釘に見えるのでそう呼ぶのだとか。

旬は春から初夏にかけて。
刺身でも旨く、さっと塩ゆでして二杯酢や酢味噌で食べます。
香川にはこの魚で作る魚醤『イカナゴ醤油』もあります。

先ほど東京ではコウナゴと呼ぶと書きましたが、
本来小女子は小さい稚魚を指す言葉。
従って天ぷらや煮つけに向く大サイズは「オオナゴ」です。
ややこしい事にこの魚を「シラウオ」と呼ぶ地方もありますが、きりがありませんので本題に入ります。

このイカナゴの稚魚(小女子)を別名「ちりめん」と言います。
だが「ちりめんじゃこ」の本家はイワシの子。
どちらが正統なのか。
どちらでも構いません。
イワシのチリメンと小女子のチリメン。両雄並び立つです。
つまり両方ともチリメンとして流通してるのです。
「イワシとの類似性」がここにもあるわけです。




★生物濃縮

時々海底油田基地やタンカーが事故を起こし、海をドロドロにしてしまう事がありますね。写真などで見ますと酷い有様です。真っ黒な汚れた海。
しかしね、放射能汚染はこれよりなお悪いと思います。
油は目に見えるから悲惨に思えるが、大部分は「除去可能」です。オイルフェンスも効果があります。

だが放射性物質はまったく肉眼では見えない。
見た限りでは何の変化もありません。きれいな海。

放射性物質の多くはブロックできないのでフェンスで囲い込む方法はほぼ無意味。
海に何百キロもの長さのコンクリート壁を作るのは非現実的。

海に放たれた汚染水。
含有されている汚染物質はまず海洋植物が栄養と勘違いして取り込みます。
もちろん動植物性プランクトンも含まれます。
それを主食とするのはイワシ、そして同類の小魚。イカナゴもそう。
これらの小魚を中型の魚が食べます。
中型の魚は大型魚に食われる。

そのサイクルの中で汚染物質は薄まり、拡散して消えるのか?
そうではなく、反対に「濃く」なります。
これを「生物濃縮」といいます。

フグという魚は凄まじい猛毒を持ってますね。
だが生まれつきあの毒が体内にあるのではありません。
育つにつれ、餌に含まれる微量の毒素を体内で「濃縮」してるのです。

なぜ濃縮するのか。
これは生体内の防衛機能だとも考えられます。
生命維持に無関係な「余計なもの」を一箇所に集め、代謝に影響を与えないようにするシステムではないか。なせかというとその固体は「無事」だからです。

つまり「捕食者」にその物質を送る結果になるだけ。
他の何者かに食べられる運命の生物には、たいした影響は出ない。

これは食物連鎖の上位者に影響を順繰りに渡してるという事。
その頂点にいるのは「ヒト」です。
カードゲームのJokerは人間に回って来るが、
それを渡す上位者は存在しません。ゲームオーバーです。


放射性ヨウ素は半減期が短いだの、セシウムは**ベクレルだから大丈夫だの、そんなモンはどうでもいいし無意味に近い。

問題は最近まで「動いていた」核燃料棒に触れたと思われる汚染水が止まらず、今現在も海に流れ込んでいる事。それに尽きます。放射性物質はヨウ素やセシウムだけではありません。もっと性質の悪いモンが沢山ある。

その流出量は毎時数トンだという。

専門家は黒潮に乗り拡散すると言うが笑ってしまう。
海水は水道管を流れてるのではないし、黒潮は高速道路ではない。




近隣の漁業関係者の絶望感に対し、慰めの言葉すらみつかりません。
あまりにも悲惨すぎる。怒りはこれから本格的に湧き上がるでしょう。
おいらが当事者なら死ぬ覚悟を決めて暴動を起こすかも知れません。
なんという国、なんという企業なのか。

国民を支えて来た農家と漁師をなぜこれほど蔑ろにするのか。
都市に住む「カラッポ連中」だけが日本人だと考えているのか。


汚い水はまだ止まらない。
これがどういう結果を招くのか。
それを考えてる人が、この日本にどれだけいるんでしょうか。


※最新のニュースによれば、水ガラスの注入によって「裂け目」からの流出は止まったとの発表。しかし冷却機能が回復せぬ限り「水かけ」は続く。この水は汚れて地下に浸透し海へ流れ出るのは避けられぬはずである。




posted by 魚山人 at 06:23 | Comment(10) | TrackBack(0) | 3.11を忘却する国へ | 更新情報をチェックする


この記事へのコメント
魚山人様

はじめまして
1年程前から、こちらのブログを拝見しております。
名古屋にある高齢者施設の厨房で栄養士をしております、綾と申します。

最近の報道を見るにつけ直ちに影響はない
の文言に辟易しています。

大気中、海中に拡散し、濃度が薄まればそれでいいのか
物質そのものの絶対量が問題なのではないのか

簡単に消えてなくならい物質だからこそ、長期的な視野が必要な筈なのに…

直ちに影響はない
の繰り返し


経口摂取による内部被曝は
現在妊娠初期の女性、また、今後妊娠する女性から生まれる子どもに影響が出るのではないかと思います。

その結果
今後ますます女性は子どもを産むことを躊躇い
放射能汚染の風評で農村漁村は廃れ
モノが売れないので経済は停滞


現在震災報道の影に隠れた感のある

TPPの参加
外国人参政権の認可
某国富裕層による国土買い上げ

ほとぼりが冷めた頃に、これらが一気に表面化し、気づいた頃には後の祭り

という事態が待っていそうで、とてもうんざりします。

隠れてコソコソは偉いセンセイ方の得意技ですから、ひょっとしたら今頃総理はそちらに重点をおいてお仕事されているのかもしれません。


国民感情を気に留めない相手に怒っても無意味なだけ
ならば如何にして私たちにとって本当に都合のよい政治をさせるように仕向けるか

魚山人様が繰り返しおっしゃるように
情報を見極める目を養わなければ
上辺だけの口当たりのいい"まにふぇすと"とやらに騙されないように。

もうすぐこちらでは県議選です。どこも信用できない感は否めませんが、お身内同士の投票ごっこを邪魔するくらいのことはしたいと思います。

長文乱文失礼致しました。
Posted by 綾 at 2011年04月06日 14:10


こんにちは、綾さん。どうもありがうございます。

最初に一言、総理はたぶん仕事などしておりません(笑)
あの方は東京都の慎太郎オヤジと同じで仕事がお嫌いな様ですから。
やっているとしたら「延命工作」だけでしょう。首相の椅子は離す気がないみたいなので。
仮に何かをしようとしても全部ピントを外すでしょうな。
理念とデザインを持ってないからです。

枝野氏の決め台詞になってしまった「直ちに影響」
他の連中も真似してるし、NHKもオウムみたいに繰り返しております。
「将来は影響が出る」と言ってることに気づいてないのですなあの人達は。
一流大を出てながらこの程度の想像力です。

日本はここから変えない限り良くなって行きません。
つまり豊かな感性と幅広く柔軟な想像力を持った日本人を育てることです。

そうした人間が育ち、政治を志してこそ、「投票」が意味を持ちましょう。
視野狭窄の詐欺師みたいな候補者ばかりでは誰も投票所に行かなくなります。

簡単ではありません。
おそらく何世代もの時間がかかります。
でもね、時は移ろい世代は交代して行く。時間はあっという間に過ぎていきます。
前の世代が残した悪しき習慣を我が子に伝えてはいけない。
そのために「現役」が想像力を豊かにし、強い心と理念を持たなきゃいけません。




うちのマル子が書いたように今回の件も、
「喉もと過ぎれば熱さを忘れる」のかも知れない。

無駄だろうとは思いつつ、でも書かなきゃいけないと思うんですよ
原発事故とその背景については。

地震津波の被災者達の事を忘れているのではありません。
すでに自分に出来る事は全て行っておりますし、それはこれからも長く続きます。
「しつこい言葉」は偽善臭が濃くなります。
「ニッポン・・」とか「やれば出来る」とか、おいらはテレビ屋ではありません。
「頑張ってください」はもういいでしょう。
そんな事言われなくても皆さん精一杯頑張ってるんです。
日本中の人が見守っている事も知っていますし、あの地方の方々は元来「根性」がある。
待っているのは言葉ではなく「支え」です。自立につながる土台なんです。
少しだけ「押してもらえれば」必ず復興を果たすでしょう。


だが原発問題はまったく異なる様相を見せております。
呪文のリピートみたいなテレビの報道で思考を停めている場合ではない。
どれほど広く深い傷を残すかまだ見えてさえきません。

同じ過ちを繰り返さない為に、「曖昧」を捨てること。
事実関係を明確に糺して行くこと。
しかし、その方向に向かわない日本人に危惧を感じております。
このような事態でさえ「流して」しまえば、どのような未来がくるのか・・・


Posted by 魚山人 at 2011年04月06日 15:46
現場からの報告です。最近この町に戻ってくる人がかなり見受けられます。車の通行も以前と遜色ないほど・・でも、来客される方々はそれぞれ認識がまったく違います。就学前の子供を連れて戻ってきた方は「発表の放射線の数値なら安全だと思って」と、また医療関係の家族は、危ないので北海道まで非難するとか・・今週には政府より80キロ圏内は避難指示が出るとか・・さまざまな憶測やデマが蔓延してます。人々が戻ってきて復興の兆しが見えるものの、このような先が見えない状況の中住民が右往左往しているのが今の南相馬市です。話は替わりますが、当方は釣りが唯一の道楽ですので、釣った魚を自分で捌いて晩酌をやるのが唯一の楽しみでした・・ですので、この状況はありえませんね・・私のささやかな楽しみもなくなってしまいました(泣)
Posted by ナオ at 2011年04月06日 19:42
すみません、個人的に使わせていただきますが。
鯔さん、ありがとうございます。勿来インターはナオもつい最近利用しました(笑)長女がその近くの病院に勤務しています、車が水没したとの事で妻の車を急遽運びました。鯔ジュニア、福島なまり??(笑)いいですね〜〜ぜひ、そのままにしておいてくださいよ〜
頑張ろうとか、一人じゃないとの言葉が飛び交ってますが、災害現場の人々には「ご苦労様です」って言葉が一番じゃないかな?少なくともナオは鯔さんの言葉にはげまされました。もう一踏ん張りいたします。
Posted by ナオ at 2011年04月06日 19:55

何も
出来ネェ。
常磐道のウネった道を 婆ちゃんに逢いたいがために
息子を横に乗せ180qで走った。 息子ゎメーターと睨めっこしながら笑う。『パパやばくね?』
俺ゎ福島で待つ親族に
『バカヤロウ』と言われる。
有り得ネェダロ!…と。


俺ゎね
大切な長男連れて
婆ちゃんの鎮魂に出掛けたんだよ。
急ぐに決まってんダロ!


これが精一杯だ
鎮魂。

イカナゴ漁
虚しいが予想済みだ。

馬鹿ゎ馬鹿な真似しか出来ネェ。

情けネェ。が
ナオサン!応援ゎしてます!
心から!

魚山人様のblogに感謝!

HEART to HEART!

ナオサン!
素敵なメッセージを
ありがとう!
Posted by 鯔次郎 at 2011年04月07日 02:09
こんばんはナオさん。
どうであれ故郷の町で暮らしたいのが人情ですよ。

漁師も釣り人も今は原発の進展を見守るしかないと思います。

日本中の人も、「次は自分達かもしれない」と考えるべきでしょうな。
原発政策の一番胡散臭い部分は「廃棄物処理」にあります。
高レベル廃棄物は近寄れば死ぬほどの「毒」。
そいつが毎年毎年千トンも出てくる。
なのにその毒を最後はどうするか決めていないのですよ。
一時的に青森に置いているが、すでに次の千トンを処理しきれない状態。
なのに新しく原発を造ると言ってる。
狂ってますな、あの連中は。

高レベル廃棄物のガラス固化体は30年くらい冷やす必要があります。
(これとて{くらい}であり、正確には分からない)

だがその30年の間に出る3〜5万トンの固化体をどうするのか?
実はね、「何も考えていない」のです。
「どうしようもないので、100年後の日本人にまかす」ですよ(笑)

このガラス固化体を東京に10本くらい置くといいんですよ。
誰も住めない都市になりますけどね。




鯔さん。
放射能の前に車で事故ってのは頂けない。
レーサーじゃねぇんだからそんな無茶をすんなっての(笑

どうせ東日本の人々は誰も逃げられない。
何が起きるか。それとも何も起きないか。
『まったく未来が分からない』恐怖からね。


Posted by 魚山人 at 2011年04月07日 02:22
私は覚悟しました。
何も考えずに魚を食うことにします。

Posted by 町田 at 2011年04月08日 15:21
こんにちは。

ここ地元鹿児島。
地元の新聞にとあるアンケートが載っていました。

川内原発について。

サンプルの絶対数が少ない、ということはありますが、反対、または安全性の見直しを求める、と言うのがあわせて4割ほど・・・。



あんたたちは一体何を見ているんだ!!


と言いたい、叫びたい。



が、しかし、
TVしかみていないのであれば、それも仕方が無い事なのかもしれない。
事あるごとに、知人にはTVはみるな、といってはいますが、自分から進んでネットで情報収集に走るような輩はそうはおりません。


NHKの報道内容に変化がでてきました。


はっきりと東電を批判したものもあれば、原子炉が地震直後、津波前から冷却が出来なくなり、水素爆発を起こした、という、今まで隠蔽されてた事実を報じました。


それくらいのことで何が変わるわけではないですが、少しだけ変化が出てきた。

繋がるかは分からないけれど、ちょっとだけの希望。

少しでもまともな世の中に。

復興するために、自分たちも。


まだまだ先は長いですが、ちょっとだけ嬉しかったので。。


放射能汚染の影響、調べれば調べるほど情報が定まらなくなります。
一体何が真であるのか??

影響が無いはずが無い、と思ってはいるのですが、学者さんのいうことが正しいんですかね??
Posted by たかさん at 2011年04月08日 16:54

こんばんは。

町田さんも、たかさんの意見も、どちらも正しいでしょうね。
自己で判断して、覚悟を決める他に打つ手はありません。

放射能の真の怖さ、それは、
何か起きないとも断言できず、起きるとも断言できない
これに尽きましょう。

「分からない怖さ」で、これに勝る悲惨は他にないんじゃないか。

この世で最も卑劣で悲惨な「戦争」でさえいつかは終わります。
「出口」さえ見えればそこに希望も見える。だから耐えられる。

だが放射能汚染に出口など無い。
薄暗闇の世界が続きます。
(個人的見解ですが、現代人の癌患者の多さと、人工的核汚染物質が70年の間大気中に振りまかれて来た事の因果関係は100%あると思っています)


対処法は一つしかないと思いますよ。
自分でどうするかを決める、です。

逃げられると思う人は逃げればよいし、
腹を決めて無視するならそれもよし。
どちらにしろ自分で選ぶしかありません。

Posted by 魚山人 at 2011年04月08日 18:17
こんばんは、またまた現地からの報告です。原発を抱えてる地方にとっては福島の事態は目が離せないと思います。遠く九州でも議論になってる事は当然でしょう・・来客の中に、避難所に東電の課長以下の管理職が頭を下げに来たとか・・でもね、謝るのはあなたたちじゃなくて、原発を推進してきた人たちと、その後押しをしてきた政権、官僚、お前たちがいち早く来るべきでしょう??その人災を犯した当事者はいち早く避難している事でしょう。ここ南相馬はようやく行方不明者の捜索が再開されて、毎日遺体が発見されてます、それと平行に、犬、猫、馬、牛、その他、飼われていたであろう動物が放し飼い状態です。もうサファリパークかと・・当地も避難指示がでるかもと噂があります。市長は指示を出すなら明確な根拠を示せと頑張ってますが、どうなる事やら。いまだに原発に翻弄されてる南相馬市からでした・・
Posted by ナオ at 2011年04月08日 20:08
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