2013年04月16日

一志専心の雪月花

板前仕事にも関係してきますので、特別庭いじりが好きというわけじゃありませんけども、草花の面倒をみることはやっております。

とは言ってもガーデニングなんていう大層なものではありません。「好きに咲きなさい」といった程度であり、「放置・放任」が自分流の育て方です。「枯らさないようにはするけど、あとは自力で好きなようにしなさい」というスタンスでしょうかね。

「寒い中、今年も咲いてくれたねぇ」

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「ご苦労様。ありがとう」

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そんな事を呟いていたのが昨日のような気がしておりましたのに、あっという間に桜も散り、気がつけばこんなものが勢いよく色づいて咲き誇っております。

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「おいおい。眩しいね、こりゃどうも」
「そんなにオメカシしてどうしようってんだよ」
「色気づくのはいいが、家出しないでくれよ」

艶やかな姿に老婆心(?)を惹起されたりして、思わず耄碌爺みたいなセリフを吐いたりしますが、まさに光陰矢のごとし。冬花の紅色に感心している間もあらばこそ、もう初夏の花が競い咲き。

隣に目をやると、
「そんなアバズレより私達の方が可憐よ」
と仰っしゃるお嬢さん方。

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「はいはい。そりぁもう綺麗だよ。とってもね」
「みんなとんでもぇべっぴんさんだ」

そうやっていい子いい子しながら、好き勝手に葉をつけている松に向かいます。

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「何かイガイガしてるけど、不良じゃないんだからさ、もう少しこう、キリッとできないもんかね、え?」
「ま、いいけど」
「料理に使うから少し松葉もらうよ」

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そうして松葉を頂戴したあと、目を下にやりますと、こんなモンが、
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「おやおや、いいモン見つけちゃったよ」
「アンタ苦いけど、おいらビターが好きでねぇ」
「お浸しにして食べるから、葉っぱ、もらっていいかい」




元気の良い草花と語らいつつ、心にあるのは先程耳にした三國連太郎さんが亡くなったとのニュース。
存在感のあるいい役者でしたが、あの方の「存在感の意味」を知る人は多くはなかっただろうなぁ。そんな想いが胸にありました。

三國さんが役者として生涯追求していたのは「社会の歪さを伝える」ということだったと思います。
親鸞に語らせたかったのは、「なぜ虐げられる人々が必ず存在するのか」という人間社会がもつ矛盾への嘆きに他ならないのではないか。

しかし残念ながら、「釣りバカ」で演じた好々爺のイメージが強く、伝えたいことを伝えきれない無念さを持っていたのではないでしょうか。

そもそも彼の本質が「反権力」だということを、どれだけの映画ファンが理解しているのかも疑問ですからね。

多くの「戦中派」と同じく、根っこにあるのは戦争体験。
国の欺瞞と嘘を見抜く目を持つ少年であり、権力というのは自分が延命するためなら人を平気で殺すし、自国民でさえ見捨てて殺してしまうという事実を、自分の目で見てきてる世代です。

「戦中派」には小説家が多く、その中には大藪春彦のような極端に露骨な反権力を表現した人もおりますが、やはり少年時代に地獄を体験して国家権力に激しい憎しみを抱いた点は同じです。


しかし諸行は無常。
大藪春彦や西村寿行の書籍はほとんど絶版になり、五木寛之や野坂昭如の本も見かけることはなくなりました。
新刊は「戦後派」のものばかりであり、純文学で本が売れるのは村上春樹だけ。春樹の本は面白いが、個人の内部に向けられた世界観であり、社会ではなく「個」に帰結してしまうもの。まぁブンガクとしてはそれが正しいのでしょうけどね。


三國さんは90歳になるまで折れなかった強さがあると思います。たぶん80歳を超えても、映画を作りたくてたまらなかったのでないでしょうか。「伝えきれていない」という強い気持ちを心に秘めていて、それが強烈なんだったという気がするんです。それだけ「若いときの体験」が生涯の記憶になってしまうほど悲惨なものだったという事でしょう。



正直、今の世界をみておりますと、「伝える」ということに意味があるのかどうか疑問が湧いてきます。

人は自分の体験からしか学ぶことはできません。
ようするに自分以外の誰かから何を言われても、本人の精神構造は変わらないということです。

風邪をひいて苦痛だと、いくら説明を受けても真に理解できるのは自分が風邪をひいた時だけなんですよ。

陰惨にイジメを受ければ死にたいほど辛いと分かるのは、軽い気持ちで他人をからかっている立場から自分がいじめを受ける立場に変化した時だけでしょう。

戦争をすればどれだけ悲惨なことになるか、それが分かるのは自分が死ぬような目に遭ってから後でしょうね。

原発事故が起きてからやっと放射能が何かを考える。
地震だらけだと知っていても、雑然と建物が並ぶ密集した都会に集中し、液状化の起きる土地や地滑りする土地に家を建てる。

そうした「穴だらけの感覚」をカバーできるのはたった一つ。
「人間が持つ想像力」

だが、その想像力を養成する本は読まれなくなり、映像メディアでも退屈なものは誰も観ない。三國さんが魂を込めて作った親鸞の映画はレンタル屋のどこを探してもないというわけです。



しかし、季節が移ろい草花の色彩が変化していくように、時代もまた繰り返すものだとも考えられましょう。
寒い冬の最中に紅をさす椿もあるし、頑固なまでに自分のスタイルを崩さない松のような植物もある。風で吹き飛ぶタンポポさえも、しぶとく自分の子孫を残していく。

ウルサイ世の中で、なかなな思う通りにやっていけないのが常です。次々に変化して行き、生き抜くためには対応しなきゃいけません。でもね、どんな変化であれそれは「季節」ですよ。根っこを地面の中に突き刺して踏ん張っていればそのうち必ず季節は変わる。根こそぎ風に飛ばされなきゃ、またいつの日か花を開くチャンスが来ます。

諦めたら終わり。
だけど信念を貫けば生涯チャンスは消えない。
言い尽くされた言葉ですが、真理だと思います。


三國さんの役者人生は無駄ではなかった。
1万人の9999人に伝わってなくとも、1人には確かに伝わっています。生涯かけてその「1万人」を倍々にしていたんだと思います。

合掌
posted by 魚山人 at 01:16 | Comment(8) | TrackBack(0) | 手前 板前 男前 | 更新情報をチェックする


この記事へのコメント
素人がとおります。

とある包丁サイトより貴兄のブログを最近知りました。
楽しく拝見しております。
ブログ管理は大変な事と察しますが、継続頂けたら幸甚です。

素人の家庭包丁は、かね惣 司庖型ステン八寸を愛用してました。
Posted by tama at 2013年04月17日 10:40

お疲れさまです爺。

三國サン…確かにやり残したことが 沢山あるのかもしれねぇが 彼ゎ幸せモンだと思うよ。だって 夢や希望ゎ叶わなかったかもしれねぇが 彼ゎ貫き通したでしょ?
自分流を。だから【スーサン】ゎ漫画のスーサンとイメージが違ってた。

俺も諦めねぇ。
俺のスタンスで行く。

日本人が新陳代謝していく過程で これから氷河期が来るのゎ間違いないダロね。

戦中派が古い角質となり
戦後派がこれから高齢化社会のリーダーとなる。 戦中派の方々ゎ人体で言うところの
免疫力だったり抗体だったりしたはず。
それが これから血管性痴ほう症の山となるんだ。間違いなくね。


この季節?ゎ自業自得なんで
勝手にしろと言いたいが
我々以下の世代が被害者となる。 正直 日本人の新陳代謝ゎそろそろ終わりを告げ
【公】による 国民の養殖化が加速度的に始まる季節?かと…


俺な 爺よ。
月曜火曜と 子鯔1号2号と
それぞれを連れて 魚釣りに行って来たよ。月曜ゎ次男と。火曜ゎ長男と。
結果ゎ見事に2日とも坊主。
でもな 大切な時間を共有出来て満足だよ。子鯔達ゎド素人なんで 釣り場ゎ某釣り施設を選択したが 行き交う船や 挨拶しに来たメートル級のアカエイのdanceやらに 男同士二人っきりな時間を満悦してきた。嬉しいことに 坊主だったにもかかわらず
「絶対またつれてきて」

普段 父親らしいことが一切出来てねぇ俺にゎ勿体ねぇほどに ありがたいヤツらの言葉。
次ゎ絶対に釣れる釣りに連れてってやる!と 約束したよ。

その 次が肝心でね…
いつになるやら…
あいつら部活忙しいし。

爺の花へ対する気持ちと
俺の子育て感ゎ似ている。

ガーデニング!?そんな育てかた できるかッツーノ!!(笑)
俺がカミサンに ガーデニング扱いされたいゎ!!(笑)

こんな馬鹿コメントしてっけどな
俺 先日の血液検査。
HDL:94
LDL:77
中性脂肪:49
爺なら わかんべさ。
俺の こだわりだ。
そして これを維持することにより 子鯔達やカミサンに迷惑かけずに死ぬつもり。

三國サンとゎ明らかに違うのゎ仕方ねぇが 俺ゎ俺なりに生きていきたい。だから爺にゎ迷惑かけっかもしんねぇが
よろしくね。

こんな華のない花も タンポポのように存在すんだからよ。ビターだが(笑)


Posted by 鯔次郎 at 2013年04月18日 01:00
tamaさん。
お声を掛けて頂きどうもありがとうございます。

かね惣に司庖型ですか。
包丁に対してきちんと意識を向けておられるんですなぁ。

ブログはマイペースにて続けてまいります所存ですので、宜しければまたお立ち寄り下さい。







鯔さん。
坊主を連れて行って「坊主」かい。
それもまた子育ての楽しさだろうね。

それが父親にとっては「子を持ったおかげで得れた特権的な楽しみ」だし、子供らにとっても「経験」を重ねる結果になり、それが人間としての感性を幅広いものにするだろう。




三國さん、それに他の戦中派もだが
「夢や希望ゎ叶わなかった」
そうは言い切れないとも思いますよ。

少なくとも彼らは「もう一度戦争が起きる事態を許さなかった」のだからね。

60年間平和を保ったのは、国際情勢など様々な理由があるのだが、やはり彼らの声が大きかったからだろうと思っている。

「平和ボケ」だの何だと悪しざまに言われることも多いのだが、それでも頑なに戦争の気配を拒否してきたのは彼らだよ。

そうして結果的に自分の子供達が戦争に駆り出される経験をすることのない人生を送れる時代を築いたのだ。
彼ら戦中派の子供達は、もう会社を定年退職する年代に達しているわけだからね。一度も軍隊経験をしないでリタイヤ年齢になったのは事実だ。


ユルユルで軟弱、軽薄でうすら軽い世の中であろうと、彼らはある意味で満足していたんだと思う。
なので「スーさん」であることに抵抗はなかったろう。


だが、「経験者」の殆どが鬼籍に入って社会から去ってしまった「今から先」が問題だろうと言うのは論をまたない。


「火傷の痛みを知らぬ者は焚き火に手を突っ込む」


おそらく「愚を再びくりかえす」だろうね。
それが人間って奴の「業」ですよ。
そして結果的に「痛い目にあう」だろう。

しかしそれも仕方あるまい。

世は春夏秋冬。
そのはざまで咲いたり散ったりするのが人間。

燃えて火傷の苦しみを味わったあと、再び社会を構築して行くだろう。

Posted by 魚山人 at 2013年04月18日 06:08

お疲れさまです。

相変わらずの その広角な価値観による返事コメ。爺も忙しいダロに ありがとね。
勉強になります。

不思議と この返事コメと 親記事をダブらせても矛盾してねぇから頭が下がります。

先日 我が店 税務署に入られたんすが この入り方が汚ねぇのなんの。
二週間位前に店に来て
しこたま呑んで喰って 領収証を【上様】でもって行き。

挙げ句 なんにも出ないモンだから 食事代やらなんやら 突っつくこと突っつくこと
(笑)

いや。(笑)←ぢゃねぇな。
あの領収証。経費なんだろ?
三人で\25000だぜ?
しかも【上様】。
落ちるんだね。

自国民でさえムシケラのように扱う【公】のスタンスゎ戦時中から変わってねぇんだな。

ヤツら曰く
「仕事ですから」

は?????

三國サンに合掌。

それこそ お疲れさまでした。と 言いたい。
春夏秋冬ゎ理解するし
納得だが 公の理不尽さゎ
許しがたい!!

税金で呑み喰い自由で 尚且つ 税をムサボル連中。
先日 東大の合格発表なるシーンを放映してたが ある学生ゎ「官僚になりたいんッス!」だと…


夢多き若者だが。

爺に せっかく広角な価値観を教わっても 許せねぇモンゎ許せねぇよ。

清濁併せ呑むのと違うからな。

俺の子鯔達が東大なんざ蚊帳の外で感謝だよ。
坊主が坊主。
これでいいのさ。
ただしホウジョウサマ←こりゃいただけねぇな。生臭いからな。
(笑)

爺。
いつも ありがとうね。
返事コメゎタダぢゃんか。
受講料ゎ払えません。

でもいつか
このblogから巣だってやる!
それしか爺に恩返しできねぇからな。

ありがとよ。オヤッサンm(__)m




Posted by 鯔次郎 at 2013年04月19日 01:26

お疲れ様です爺。

あのぉ 返事コメが あさってのほうに書かれてましたんで
(笑)こちらに追記しますが
爺に聞きたいことがある。

日本政策金融公庫だっけか?
あれって審査厳しいんすか?

HP見たんすが なかなか理解しにくく…m(__)m

mailゎやり取り出来ないようなので ここ借りますよ♪

勿論 非公開で結構なんすが
非公開なコメに対して返事コメも書けまいに。

だから
爺の知る範囲で結構なんで
独立資金の集め方なんて記事ゎどうすかね。?

俺もそろそろ独立したいんすが 銭がね…子鯔達にかかるし…。

借り入れするにも年齢考えっとギリでしょ?

決して株バブルだの円安バブルに浮かれてる訳ぢゃねぇのよ。

将来を考えっとさ ぼちぼちかなと…

人生ゎ一回っきりだかんね♪
チャレンジしたいんだ!!
それにゎ借金と若いの育てるッツー義務が生じる。

どうか お願い致しますm(__)m

Posted by 鯔次郎 at 2013年04月26日 01:45
鯔さん。おつかれさまです。
やっとその気になった様子だね。

時代なんぞ「ショボクレ」だろうが「浮かれ」だろうが、関係ないんだよ。だが、まぁ今の方がやりやすい事は確かだろう。

正直に言ってだな・・・
自分のことのように嬉しい(^ー^)


だが、
甘ったれんじゃねえ(ノ`Д´)ノ彡┻━┻(←星一徹

だ。

そんなことも自力で調べられないってんなら、
仮に独立できたとしても店を潰すのがオチだよ。


店の営業と職人の腕って奴は別モンだ。
営業はね、「千円札の積み重ね」なんですよ。

千円ってのは百円が十個ということでもあり、10枚で一万円ってことでもある。
だるま落としの達磨さんだということです。

【百円、千円をどこかで抜くと、壊れちまう】


だが、まぁ、ナンだ。
とりあえず、このへんを読んでおくといい。
http://www.sushi-all-japan.or.jp/kanagawa/kumiai.html
http://www.zeninren.or.jp/kanyu.html
http://xhostingsolutions.com/cat-1/329/
http://a-yeah.com/
http://www.551551.net/concept.html
http://snavi.mbs-con.com/index.html
http://raaata.seesaa.net/



Posted by 魚山人 at 2013年04月26日 05:54
ボラさんへ

個人事業主で経営するんですか?

法人にするという手もあるのでしょうが、言うまでもなく、事業を広げると言うのではなく、自分の目の行き届く、自分が握った寿司を出すのが目的の店なんですよね?

自分の親兄弟以外の他人からは借りないほうがいいです。

潰れたときを前提に話をしていますが、銀行、金融機関で借り入れをするとして、自己破産しても命までは取られません。

それと、そういうのを相談できる人もいたほうがいいです。手とり足とり教えてくれる、税理士先生なり経理業務の味方って意味です。自分で勉強するのは当然として、答え合わせを出来る人が居ないと、高い授業料を払うことになりますので。

今のお店の親方に、その辺りは紹介してもらえますか?

仕事に集中するためにも、その辺りは前もって相談しておいた方がいいですよ。


魚山人さんの10円の積み重ねは、何も本当のお金の事に限らないんです。


店をするとして、どうやってタイムスケジュールを立てて、人を雇う、お金借りる、場所を見つける、備品準備する、挨拶に行く、告知をどうするか、仕入れどうするか、で、実際開けてみて予想が下方修正するなら、2の手、3の手は準備できているのか、経理業務どうするか、等など。


そういう、道筋が細かければ細かいほど、より視野を広く仕事に臨めるはずです。


視野を広く臨めるだけですよ。


成功するのとは、論点が違います。


成功するかどうかは、誰にも分かりません。


まだ、今のところ、ボチボチかなっていう話なので性急なことではないだろうけど、お金を借りたいなら尚更、事業計画なども聞かれるでしょう。

その際に、誰も潰そうと思って店する奴はいないんですが、貸す人を安心させるためには、道筋が分かりやすくないと、細かい積み重ねで店を成功させようとしていないと、他人にはイメージが出来ないんです。

鮨と空気、そして周りの風景をお金貸す人にイメージさせることが出来たら、成功するかもしれません。

Posted by ゆうじ at 2013年04月26日 20:46
それから、俺がチェックしている飲食業界のホームページもついでに。

http://www.foodrink.co.jp/
http://nr.nikkeibp.co.jp/
http://www.hanjoukai.com/
http://www.gaisyoku.biz/
http://food-stadium.com/

ざっと毎日目を通しておいて損はしないと思います。
Posted by ゆうじ at 2013年04月26日 20:49
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