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2008年04月25日

捨て舎利

握り寿司の最低限の条件は「常に同じサイズに握る」事です。
基本中の基本と言うか、これができないとつけ場で鮨を握る資格がありません。寿司はお客さんに対し二貫をつける場合が多いですよね、そのときに左右で握りの大きさが違ってたんじゃ話になりませんので、まずはこれが出来る事が最低条件って訳です。
握り寿司

ところが「均一のサイズ」に気を取られすぎて全体を失う寿司職人が後を断ちません。それが「捨てシャリ」になって表れます。
その「全体」と言うのはパフォーマンス衛生です。

この捨てシャリに関しては昔から違和感がありますし、このブログには何度か握りの事も書いていますので言及すべきでしたが、今まで書いていないのは、ある有名な「グルメ漫画」にて鋭くこの問題が描かれているからです。何十年も続く漫画でして名を言えば誰もが知ってるほどですから、そこから転用したと思われるし、それは癪だって気がしますしね。
なぜ癪なのかって言えば、あれは正論ではあるものの結局は「外部から見た感想」でしかなく、「寿司職人」の視点から描かれていないからでもあります。

なんで捨てシャリをしてしまうかは最初に書いた「常に均一」にしなければならないからでして、目視にてシャリダマを微調整しているからです。その動作が習慣として身についてしまうという訳ですな。



この後、大きさを調整する為にシャリをちぎって戻す動きをし、その動作が「捨てシャリ」というわけです。
捨てしゃり


ここで先ほどの「全体」を少し考えてみましょう。
寿司のつけ場で握る仕事というのは他には無い特殊性があります。お客さんの目の前で口に入れる食べ物を作って出すというのは他に無い訳ではありませんが、生の魚を目の前で包丁し、それを商品にまで仕上げてすすめるなんてのは鮨くらいのもので、しかもその動作全体をお客さんに観られているわけです。
こんなケースでは「安心感」が絶対の条件になりますよね。
生モノを食べるんですから、板前が自信なさそうにモソモソと作った寿司なんてのは口に入れる気になりません。

ですから堂々とした動作で信頼を得なきゃ成り立ちません。
猫背になって自分のヘソの位置より下でチョコマカ握ったり、お客に横顔みせてシャリ桶の上で握るなんてのはいけません。
背筋をピンと伸ばし、お客さんを正面にして、見える位置(ヘソから胸の間)で握ってみせなければならないんですよ。キビキビとした無駄のない動きになんなきゃいけません。それが鮨職人に課せられたパフォーマンスです。

これらの動作全体は「衛生」をアピールする事にもなります。
だらしのない格好でノロノロと眼前で作られた生の食べ物などに「衛生感」はありませんからね。「不潔感」を与えてしまえば致命的な商売なんですよ。

これらの事から捨てシャリがどうなのか考えてみて下さい。
一度掌に乗せたご飯をちぎってまた桶に戻す動作は、どう考えても美しいとは思えず、見苦しい動きでしかありません。しかもこれをやる職人を観察してますと、本来の均一なサイズにする目的は消えて、「クセ」になってしまってるだけなんです。

数年寿司を握っていればサイズを合わせるなど、「桶中」で可能なはずです。
  
この動作でシャリの大きさは調整できます。

捨てシャリをする板前に共通する特徴をあげておきましょう。
それはしゃり桶の中の汚さです。だいたい下の画像の様な感じです。

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タグ:捨てシャリ





posted by 魚山人 at 06:37 | Comment(4) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年03月14日

手巻き寿司の作り方

手巻き寿司の作り方なんてものを果たして書く必要があるのか、ちょいと考えたんですが、慣れた人には説明なんてまったく不要なのは当然なんですが、
何事にも『初めて』っていうのがあります。
このブログはそういった方の役に立てるためにやってるようなものですんで、むしろ今まで書いてなかったのが不徳ってところです。



これからどんどん暖かくなると皆で集まる機会も多くなりますし、母の日や父の日、子供の日とホームパーティーも多くなります。スシが嫌いって人はまず殆どいませんので、喜ばれることはうけあいでしょう。初めて挑戦するって方も必ずいるはずです。そういう方の参考になるかもしれません。

とは言えやはり手巻き寿司の作り方はとても簡単です。
ネタとシャリと海苔があれば出来たも同然なんですね。



そこで手巻き寿司の巻き方に焦点を合わせて説明することにしました。
すし飯と海苔はあえて説明しませんが、寿司の作り方などにも書いてますので参照下さい。
寿司の調味
寿司の作り方
元々手巻きすしってのはこの20〜30年で広まった寿司ですから、
(発祥は『築地玉寿司』が定説です。ちなみに軍艦巻は『久兵衛』)
ネタはそれこそ何でもかまいません。食べられるものであれば(シャリと合えば)どんなモンでも手巻き寿司になります。
でもやっぱり寿司は寿司、ネタは握りに使う鮨種にしたほうが一番美味しいと思いますよ。



手巻き寿司の巻き方

普通は末広(円錐形)に巻けばいいんですが、これには二種類の巻き方があります。まずは外巻き。
海苔の向きに注意して下さい。
手巻きすしの巻き方


すし飯の頭が右になっています
*拡大します
  

その頭側から巻き始めます。左手の親指を使います。


ですがこの外巻き(渡し巻き)はあまり使いません。
一般的には内巻きにします。手早く正確に巻けるのでプロの寿司職人もだいたいはこれです。
海苔はこう持ちます。
上と比べて下さい。向きが違いますね。


すしめしを置いて中心を指で凹ませます。
  

ネタを並べて
    

同じく左親指を使い巻き込みます。
  

  

さらに末広では食べにくいネタなどを巻くに適した円筒巻きもあります。
といいますか、最初の手巻き寿司はみんなこれでした。
 

 

画像では右手が写ってませんがこれは撮影の為です。
右手の指をそえて巻き込んでください。出来栄えを良くするコツはこの右指をそえて『しめる』ことです。シャリもネタも気持ち少なめにしておくほうがスマートで美味しそうな手巻き寿司になりますよ。


手巻き寿司画像上三枚

寿司作り方トップ






posted by 魚山人 at 11:05 | Comment(6) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年03月06日

箱寿司、バッテラ、太巻き、関西寿司

寿司の歴史でも書きましたが、昔は関東の「鮨」に対し関西は「鮓」の字を当てる事が多かったと云います。醸す成れすしが寿司の正統ですんで、その本場(千年の歴史を持つ鮒寿司)でもありますし、昨日今日できたばかりの「江戸前」なんて即席寿司と同じにされちゃかなわねぇ、ってことでもないんでしょうが、大阪寿司は江戸前の「鮨」とは一味違います。
まずは「シャリ」ですな。保存が主体の関西寿司は、酢に塩だけの江戸前と違い砂糖を使います。それでかなり濃厚な味になります。和食では薄味主体の関西、濃い味の関東ですが、寿司は逆って訳で面白い。
(*現在は西も東もなく全国的に砂糖主体の味でほぼ統一されてます)

関西寿司って言えば太巻きと箱寿司が浮かびますね。こいつは言葉よりも実際に目で見なくちゃ面白くない。そいで明石で仕出し屋を50年以上続けてる職人さんの店がありますんで、その店『仕出し 米長』の商品を紹介しながら見ていきましょう。

バッテラ・箱寿司

バッテラはサバの押し寿司って意味で使われますけども、今は押し箱(テラ箱)自体をバッテラと呼びますし、サバに限らずバッテラで圧して長角に抜き、甘酢で味をした白板昆布・テラ昆布(酢をきかせる事で腐敗防止になり保存性を高める)を乗せた寿司を全般的にバッテラといってますね。もともとポルトガル語だそうで小船を意味してるそうです。コハダやサバの押し寿司の形が小船をイメージさせたんでしょうな。
普通に『さば寿司』と呼ぶのは箱を使わない『棒寿司』を指していまして、お頭付きの姿寿司もこの種です。サバの他鮎や小鯛などがありますね。これは布巾で巻き込むだけで形を整えます(最近はラップをよく使います)

こいつが押し箱、名称は「バッテラ」です。通称「テラバコ」
木製 バッテラ

充分に水を吸わせたバッテラ箱の水気を拭き、凹面を下にし、こうしてネタを並べおきまして、シャリを8〜9分詰めて蓋をして、その蓋の左右の取手を押さえて全体重を乗せて押し、左右を返してまた体重をかけて押します。左右に押しムラができないようにする為です。
鯛の箱寿司

『米長』はこだわり職人の店、バッテラと箱寿司を分けているようです。
これは、身を削いで形成したいわゆるバッテラ
さば バッテラ

これは片身をそのままつけたサバ箱寿司
いい具合ですなぁ、
テラコブには利尻を使ってるし美味しそうだ。
サバ箱寿司

流行の焼き鯖箱寿司もあります
焼きサバ寿司

そして明石って言えばタイですが、
もちろん鯛も押してます。
鯛の押し寿司

しっかり昆布で〆て鯛の旨味を引き出してあります。
鯛箱寿司
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posted by 魚山人 at 12:13 | Comment(4) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年02月28日

スシから握りずしへの歴史

寿司好きの日本人は珍しくも何ともなく、スシという食べ物は日本の国民食に近いですよね。外食業の売り上げランキングの三位がラーメン、二位が焼肉、そして二位を大きく引き離したダントツの売り上げを誇るのが一位の寿司ですから、これは間違いないでしょう。
握り寿司

当然寿司に関わる仕事をする人も多いはずで、そうではなくても寿司が大好きだって方も大勢いることでしょう。しかしそのスシがいったいどんな食べ物なのか説明できる人が、その中にどれだけいることでしょう。
文献を開けば良いようなものですが、難しすぎて最後まで読む事すらなかなか出来ないものです。そこで今回は、スシの由来をできる限りにおいて分かりやすく単純にまとめておこうと思いました。

そもそもスシとは何か

(一) スシの原型

寿司はまたはと書く
ともに国字ではなく漢字である。
従って原型は中国にある。
そして鮨と鮓は別の食品である。


鮨(シ)
紀元前3〜4世紀頃の中国古代字書『爾雅』に塩辛(ウオビシオ)として紹介された。食材を塩漬けにした食べ物。塩辛。

鮓(サ)
別の古代書に蔵魚として書かれている。塩と米に魚を漬け込んだ保存食である。


関西で鮓の字が多く使われ、関東では鮨の字を好んで使う。
その傾向の原点は上記の理由による。


ところが理由はまったく判然としないが、中世の中国では鮓が完全に姿を消してしまい、辺境の地で少数民族の郷土料理として僅かながら現代に名残をのこすのみである。


*中尾佐助著『栽培植物と農耕の起源』(1966年)では「ラオスの山地民やボルネオの焼畑民族」の焼畑農耕文化複合の一つとされている。
*篠田統著『すしの本』(1970年)は、東南アジアの山地民の魚肉保存食を寿司の起源とあげ、高地ゆえ頻繁に入手が困難な魚を、長期保存する手段として発達したものとしている。
*石毛直道・ケネス・ラドル著『魚醤とナレズシの研究 モンスーン・アジアの食事文化』(1990年)では、東北タイやミャンマーあたりの平野部をあげ、水田地帯で稲作と共に成立した保存食が寿司の原型だろうとしている。

(二) 日本最古のスシ

中国本土で姿を消した鮓が日本にお目見えした最古の記録が大化の改心から数十年後の天門年間。元正天皇の養老二年(718年)に制定された法典「養老令」には「鮑鮓、貽貝鮓、」などが書かれている。奈良の平城京址から発掘された木簡にもこの種のものが記されている。
これがどのような食べ物だったのかは分かっていないが、古代中国の鮓と同様のものであったことは間違いなかろうと思う。

(三) 何故「すし」の名が付いたのか

貝原益軒(1629〜1714)の「日本釈名」(1699年)に「鮓=すし」の記述が始めて登場し、後の1719年に新井白石(1656〜1725)が「東雅」の中で「スは醸也。シは詞助也・・・・・・」と書いており、この大学者ニ名はスシの味は酸っぱいから酸し(すし)であるとしている。
この下敷きは『新選字鏡』(899-901年)と『倭名類類聚抄』(931-938年)で、「鮓」の読みは「酒志」、「鮨」の読みはに「須之」とある。

他の多くの外来語と同じく、サ(鮓)とシ(鮨)の音が徐々に訓じたと考えてもよいのではないか。

寿(ことぶき)の司(つかさ)と書いて寿司の字を当てたのは、江戸も後期から明治にかけての時期であろうと思われる。もちろん考案された当て字にすぎない。

(四) ナレズシから江戸前寿司への歴史

近江のフナ寿司は千年余の歴史を誇る。卵巣を残して内蔵を除き、塩漬けにしておき、それを塩抜きして飯ではさみ重しをして発酵させる。
これが『なれずし』であり、(二)で書かれた最古のスシ(鮓)はおそらくこれであろうと考えられている。飯自体の自然発酵により生まれる乳酸菌などによる保存食である。
鮒寿し

しかしこのなれずしは数年もの間漬けなければならず(4年物が上とされる)飯は除いて捨て、チーズ状の身を食べるだけであり考えてみれば豪奢な食品でもある。

そこで室町時代あたりから急速に広まったのが『なまなれ』(生成/なまなり)である。
これは長くて2週間くらいの即席漬けであり、飯も食えるという利便性から各地に伝播している。

紀州なれずしにはこんな言い伝えがある
【源平の世、和歌山のある里に隠れていた平維盛に追ってがかかり護摩壇山に逃れた。それを聞いた配下の一人が炊き立ての飯と塩サバをもって山中をひたすら走る。その飯を食べたら美味しいなれずしになっていた。これが紀州なれずしの始まり】
もちろん後世に作られたお話であろうが、たいへん面白い。

現在各地でなれずしと称するものはほぼ全部がこの『生成れ』であり、これに対して近江のふなずしは『ほんなれ』と呼ばれる様になった。
酒や酒粕、糀を使用したりと、寿司の発酵を早める工夫が各地でなされたが、寒い地方では乳酸菌が発酵するのが遅いという理由もあり、麹も加えて漬け込む『いずし』が発達している。北海道では元々米麹に魚などを漬け込む『きりこみ』なるものが存在していて、これに飯も加える様になった。

江戸期に入ると清酢が登場する。
これをスシに使い始めたのが誰かは知らないが、
(「松本善甫という医者が延宝年間(1673-1680年)に酢を用いたすしを発明し、それを松本ずしという」 岡本保孝著『難波江』)*定かなのかどうか証拠が少ない*
酢の強力な防腐作用を利用した『はやずし』が誕生する。
酢は酸味もあり、発酵を待つ必要も無い。早寿司の所以である。

これは酢飯を箱に詰めて魚貝を並べおき、押し蓋で圧して作る『箱ずけ』であった。『コケラ』とも言い、関西寿司でいう『箱ずし』である。

1687年刊行の書に最初の江戸前寿司が登場。
中央区日本橋辺りにあった『近江屋』と『駿河屋』がそれである。
出していたのは『ほんなれ』と『はやなれ』と『はやずし』の混成だったと思われる。

しばらく後の1695年刊の『本朝食鑑』には酢を使ったすしが明記されている。

箱ずしは切ってから出したので『切りずし』とも言う。
この一切れを隈笹で巻いて軽く重しをかけたのが『笹巻きすし』であり別名「毛抜きずし」とも呼ばれた。

この毛抜きすしの一個を元に考案されたのが『握りずし』なのである。

「妖術という身で握るすしの飯」 これが握り寿司の文献的初出。
創案したのは「與兵衛鮓」華屋與兵衛とも、「砂子鮨」堺屋松五郎ともいわれるが、與兵衛自身「以前に発案者は大勢いた」と言っている。もっとも成功した代表的な創案者だったのだろう。どちらにしても文政年間(1818-1831年)には握り寿司は完成したらしい。その後関西や名古屋にも広まっていく。

寿司屋には屋台と内店があり、屋台は庶民のものであったのだが、第二次大戦の戦中戦後の食糧難による規制などで、高級料理に位置付けられていた。
現在の様に再び庶民に普及を始めたのは、1958年に大阪で開店した回転寿司店「廻る元禄ずし」や、持ち帰りずし店「京樽」や「小僧ずし」も開業して、安い価格で一般に広めてから以降である。



以上駆け足でスシの歴史をおさらいしましたが、ルーツがなんであれ、日本の、殊に江戸前寿司は、世界に類の無い日本独自の料理として完成しており、その完成度は世界の何処に出しても恥じないほど高度でありますね。だからこそsushiは世界中に広まっているのでしょう。
赤身の握り

儲け主義に傾いた企業理論により、寿司の世界も良い意味でも悪い意味でも変化しておりますが、日本人が寿司を愛する限り、必ず次世代の寿司職人は育つとおいらは信じております。

関連記事
寿司の作り方      寿司の話あれこれ


タグ:スシの歴史





posted by 魚山人 at 12:03 | Comment(4) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年01月23日

薄焼き卵の作り方・細工巻(2)

薄焼き卵の作り方です。厚焼き・だし巻き卵はこちらの記事で紹介してますんでご参照下さい。
薄焼きは、あえて紹介するほど難しいものではありませんが、参考にはなるかもしれません。スライスすれば錦糸卵になりますし、こんな可愛いのも作れたりします。
お雛祭りの一品
お雛様

用途は幅広いですよね。何枚も手早く焼ける板前の仕方を書いておきます。
普通お店ではね、こんな銅製の卵焼き鍋を使います。
銅製の卵焼き鍋

けどこんな鍋があるご家庭は稀でしょう。結構高価ですしね。
最近はテフロンのやつでも、下の様な卵焼き鍋がそこらで安く買えるようになってますから、ひとつ持っておくと便利ですよ。機能も良いです。
テフロン

厚焼きも薄焼きも同じですが、焼きに入る前に鍋を充分焼いておくのが卵焼きを上手に焼けるかどうかの分かれ目になります。空焼きしたら油を沢山入れて熱し、鍋全体に油を馴染ませるのも大事です。

薄焼き卵の作り方

卵は薄焼き一枚で卵一個が目安です。味付けは塩だけ。水溶き片栗粉を入れると破けにくい薄焼きになるという話もありますが、必要ありません。別の用途ならともかく、この場合はあまり意味がないからです。すぐに破けるのは焼き方自体に問題があると思われます。説明の途中でその理由を書いておきます。



切る様によく混ぜあわせます。ただし泡立ててはいけません。
(混ぜがたりないないと破けやすくなる)


しばらく放置すれば泡は落ち着きますが、急ぎの場合は下の様にキッチンペーパーなどで泡(気泡)を取り除きます。
(気泡があると破けやすい)


鍋に残った余分な油をきれいに拭き取り(これも大事。油玉などがあれば失敗します)充分熱くなった鍋に(鍋が冷たいのは駄目)一気に大量の卵液(100ccほど)を入れます。


一呼吸後に、鍋の卵液をボールに戻します。


鍋の下加熱が良好ですと、下の様に薄く卵液が張り付きます。


卵液が乾いたら菜箸で返し、


裏面も少しだけ焼きます。


盆ザルなどの上に鍋を振って取り出します。
この手順ですと、慣れれば数十秒で一枚が焼けます。


失敗(破れやすい)する最大の原因は火加減が弱すぎる事です。
火加減は中火より強めで。しくじりそうになれば、鍋ごと横移動(火から離す)させれなよいだけですから怖がってはいけません。

次に海苔巻きのノリの代わりをしてくれる卵焼きです。

卵焼きの焼き方

卵液の分量は卵の大小によって3〜5個が一枚分。
味付けは砂糖3塩1酒1で加減。
薄焼きと同じように熱くなった鍋に全部の卵液を入れ


火を弱くしてしばらくおきます。


液が流れなくなったら菜箸で返して


薄焼きと同じように取り出します。









posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年01月22日

恵方巻きや行楽弁当にも使える巻物(1)

細工巻き(からくりすし)の始まりってのはね、昔はお天気次第でネタが入んない事が多かった、それで職人達は在るネタで色々工夫して売り物にした。それが始まりでして、流通事情が好転した今じゃ生ネタ主流で、お客の嗜好も新鮮な生ネタ。ですから作る事もあまりありません。当然作れない職人が増えました。特に細工巻物はほとんど営業に使うことは無いですねぇ。代表的な【文銭巻】や【四海巻】や【菊花巻】ですら巻き方を知らない職人がほとんどってのも仕方が無いっていえばしかたないでしょうな。
寿司学校なんかで教えてますが(左サイドバーにあるアカデミーへのリンクで見られます)正直言って作り方は簡単でもありませんしね。

ご家庭向きの細工巻寿司って言えば、房総は千葉の郷土料理でもある【祭りずし】が良いですねぇ。おかみさん達が可愛い太巻き寿司をこしらえていますね。でもね、あれも簡単にできるとは言えません、それなりに練習しないと無理ですね。

これは昔知り合いの子供さんの誕生日に頼まれて作ったんですけど、
アンパンマン寿司
単純に見えますが苦労しました。まだ【菊水巻】とか【上り藤】【葵紋】【違鷹羽】なんて伝統的な細工巻きの方が楽です。型が決まってますからね。

いえね、なんで太巻きの話かってぇと、別に来月の恵方巻きを意識してじゃないんですよ、も〜毎日「寒い」からです(笑)人ってのが1月2月の寒さがピークになる時期に考えるのはね、「春の行楽」のことなんですよ。春の御日様を雪の下でじっと待ってる植物とおんなじこってす。それで行楽っていうと「弁当」、弁当っていえば「太巻き」ってな思考をしたんですよ(単純で古い脳ミソですかねこりゃ)来月の恵方巻きにだって、その先に控えるいろんな節句事だって、誕生祝いにだって使えますしね。だからちょいと変わった太巻きの巻き方を紹介してみようかって思いました。

大きい太巻きはこちらで紹介してますんで、今回は一回り小さな実用的サイズのやつ(寿司屋でいう中巻き)をひとつ紹介いたしましょう。細工巻きで大事なのは「センス」で、やはり基本を手に憶えさせないとそれは身につきませんので、色々考えたんですが、「簡単に作れるわりにはキレイ」これがポイントだと思いました。そしたらもっと色々なものを作ってみましょうって気持ちになりますよね。

で、紹介するのは【四海巻】をアレンジした巻物で、とても簡単ですし、「なぜ飾り太巻きの模様は出来るのか」を理解するのにうってつけだと思います。

細工巻き寿司の作り方(基本形T)

まず胡瓜を巻き海苔の長さに合わせて十文字に切り離し四割りにします。卵焼きも長さを合わせておきます。具はこれだけです。


一辺の長さは指二本分になりますので、手前にその長さ分の「のりしろ」を空けて、イチョウ型になったキュウリをこのような形で二つ置き、その上に卵焼きを乗せます。
その上からかぶせる様にこんどは下のキュウリと反対になる形にして残りのキュウリをおきます。
SN361439.JPG

手前の海苔しろを持ち上げるようにしながら巻きこみます。


これの一辺の長さの四倍になるように寿司飯を別の海苔に広げまして、手前に一辺分の余白を空けておきます。
先と同じ手順で巻き込み、マキスで四角形を整えます。


切りますと


中はこうなっています。


つまり、小さい巻き物を作り、それを具にして入れて太巻きにするという基本形がこれを作る事により、「なるほど」って感じで理解できるんです。

この様な巻物をとても小さく作って絵柄の基にするんですね。
基本さえ分かれば中に入れる具や絵柄も自由ですから、応用は広がりますよ。
玉子巻き寿司

次回は太巻きに使う卵焼きと、ついでに薄焼き卵の焼き方と、それを使って巻いた「梅・桃花卵巻き」を紹介予定です。桃の節句などに使えます。

次ページ 細工巻き(2)薄焼き卵の作り方へ>>
関連記事  立春に恵方巻き

タグ:細工巻き





posted by 魚山人 at 08:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2008年01月19日

マグロ解体・マグロの刺身が出来るまで(3)

水揚げされたマグロは販売網にのって皆さんの口に届きます。
マグロは人気のある高額商品ですので、一般の市場ルート以外で流通しているものなども多く、大きな冷凍倉庫に寝かされて値動きをみたりと、もう「戦略物資」並みですな。やはり大手商社の力が強いですね。

(三)マグロのロインとブロック

さて前回の記事で紹介しましたように、マグロは漁獲されると同時に血抜きされエラと内臓を取り去ります。その姿で市場に並びます。

この状態をマルと呼びます。
マル

さらに頭と尾を落とした状態がドレスです。
ドレス

この状態で小売店に行く事はありません。
マルでお客の目前にでるのは「マグロ解体ショー」くらいのものです。
築地みやこの解体ショー.

ドレス状態のマグロをおろします。
1・5mもある刀みたいなマグロおろし包丁は、二人で使うのが普通です。一人は刃先部分を支え、呼吸を合わせてマグロを切っていきます。
二人で呼吸をあわせて

30キロ前後の小型マグロであれば、長さが半分ほどの半丁包丁を使い、一人でおろせます。
マグロ包丁

マグロおろし包丁をここに入れます。
手順はヒラメの5枚おろしと変わりませんが、魚体サイズは別物。








それで五枚におろしますと、背二本、腹二本の合計四本になります。

この状態をロイン(一丁)と呼びます。
上のは背ですから、「背一丁」ですね。
この状態でも普通のお店では使いきれない量の刺身がとれますので、さらにこれをカットして小分けします。カットの仕方はだいたい決まっていて、下の様になります。

*クリックで拡大します。


さらに大きいのは、上と下を三等分にし、その中間の部分を背中と言います。これがブロックです。料理店や鮮魚店は、このロインかブロック単位で仕入れて販売する訳です。

しかしここにあげた例は全般的なわけではなく、通常は冷凍マグロが大部分をしめていますから、少し機械的なやり方で販売ルートにのっていきます。マイナス50〜60度で凍結されたマグロはマイナス30度を上回る温度では変質してしまいます。一度解凍が始まれば、細胞の破壊が止められませんので、再凍結は問題外なんですね。そこで冷凍庫から出したドレスマグロは、石みたいに固いうちに加工(カット)しなきゃいけません。
  6161989.JPG

こういった工作機械みたいな鋸を使い、木材を加工する感じで「さばき」ます。


こうして凍ったままの状態で加工したマグロブロックが多く利用されます。解凍の仕方が正しければ、生と変わらない味を楽しめます。ただ、次回で詳しく書きますが、マグロは「目」があります。包丁を入れる筋目ですね。この知識がないままブロックが切り出されて店に来る場合が多く、料理人が苦労する事になりますし、歩留まりも悪くロスになります。冷凍状態でカットされたブロックを「コロ」と言いますけども、その寸法がいい加減ですと、長柵にするにも手柵にするにも中途半端になるんですよ。ですからおいらはコロを使いません。1丁買いにします。自分で計算してサクを取れますからね。

背一丁の断面
背側ブロック


腹下の断面


腹中の断面


腹上の断面


画像はミナミマグロ(蓄養冷)
蓄養もかなり品質が向上していますね。いいものだと思います。

こちらが噂の近海本マグロ。

蓄養との違いは我々は一目で「直感的に」分かりますけども、見分ける方法は赤い部分に入ってる白い「サシ」です。あと蓄養は全体のサイズに比して、明らかに脂が多いですね

画像情報

本マグロの原価計算

この腹上が一番高価な部分で、大トロ、カマトロが取れる場所。近海の生クロマグロの上物ですとこれだけで数十万する場合があります例えばキロ単価25000円で仕入れたとしますと、皮や血合いや骨を除いた可食部分はおよそ6割ですから、100gが3500円になります。寿司ネタの重さはおよそ10グラムから20グラムですので、20グラムの大きいサイズで握ると1貫の原価は、なんと700円。通常、料理ってのは三倍くらいの値をつけないと利益が出ませんので、×3の2100円。2貫出すと4200円。なかなかそんな無茶な値段で出す度胸のある職人はあまりいませんので、トロってのは寿司屋にとって利益にならない商品なんですよ

さあ今日もマグロが来ました。
(背一丁を真ん中から二等分に河岸で切ってもらったもの)


やはりマグロってのは何とも言えない良い香りがします。


次回は多分最後ですので、サク取りの注意点とか刺身の注意点とか、あと、良くない(買わないほうがいい)刺身サクなどを紹介いたします。

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2007年11月18日

本手返し魚山人流

本手返しと言いましても、あくまで我流、魚山人流である事を最初にお断りしておきます。従って、いわゆる「本手返し五手」とは少々異なります。現在本手返しで握る寿司職人は極めて珍しく、名は知っていても、実際本手で握る場面を見た事の無い職人も多数いるはずです。伝統である本手返しが廃れてしまった理由は色々ありますが、「遅く」感じられて、速さが求められる現代とマッチしなくなったのが最大の理由かもしれません。
おいら自身も、速さが求められる場面では、前頁の「こて返し」を使う様にしています。
最初は本手返し五手で握っていましたが、だんだん崩していきまして、正統な本手より速く握れる自己流を使うようになりました。

魚山人流本手返し握り手順

タネを左手人差し指と親指で挟みます。


指腹全部を使い、タネに触れる面積を少なく


サビをのせ


すかさずシャリをおきます


瞬間的に人差し指で中心に大きな穴を穿ちます


次の瞬間右手に移動させます


左手で包みかぶせる様にしながら取ります




この一連の動作で上下が回転しています


ここから前ページのこて返しの要領で返し、タネを上にします。

ここでもう一度上下を回転させ


軽く押さえて形を整えます


右指を添えながら左指の腹を利用して左右を包み上げて形を仕上げます。




この動作を途切れ目の無いよう、水の流れるように3秒で行います。画像は撮影の為に下手握りになっていますが、実際はこれを肩の高さでやっています。勿論まな板上の下手でもかまいませんけども、全体的な流れと動作美を考えてあえてそうしています。


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タグ:鮨の握り方





posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2007年10月28日

サーモンの手ザク

寿司ネタの切り方や刺身の話からの続きで、今回はサーモンの手ザクの切り方です。
鮭という魚は生で食べるには色々問題があります。寄生虫の事だけではなく、身質の軟弱さとか。ですから刺身に、あるいは握りにするときは、塩と酢で締めて使う方法をとる店が多いです。
締めるといっても、サイズの違いもありますから、シメサバの様な食感にはならず、ほとんど生魚の味覚を保つことができます。

サケ(鮭)とマス(鱒)

シメサバとコハダ
 
手ザクのサーモンを切りつけます。
中心の綻びは小骨を抜いた跡で、サーモンは小骨が長く大きいので抜くのはかなり大変ですが、必ず抜かなければいけません。






皮つきで切ってますけども、皮目の色、脂、食感を損なわない様に、お客に出す直前まで、皮はつけたままにしておくのが一般のタチ店(回転やレストラン形式以外のカウンターメインの寿司屋)では普通です。サク全部を切ってしまうときは、先に皮を引いてから切った方が良いです。

川魚特有の寄生虫の問題と、肉質の脆弱さの問題を回避して生刺身味わう為の他の方法が完全凍結で、中心まで凍った状態で24時間以上おきます。通常は漁船内や漁港、業者の凍結設備で凍らせてますから問題ありません。このサイズの魚を家庭の冷凍庫で中心まで凍結させるのは無理ですからね。(マイナス50度が必要)

締めないで刺身にするには、完全に解凍しない方がよいです。要するに半解凍状態、これが北海道でいうルイベですね。半凍りの刺身は独特の味覚で口当たりも良いですし、それが嫌なら少し時間をおけば生状態になる。刺身を引く時に非常に扱いやすくもなります。

これは11月頃から最盛を迎える『鮭児(ケイジ)』を切ってるところです。これは締めてありません。ルイベ状態が少し解けたくらいの感じです。

ケイジ
 

長ザクの切りつけ方ですが、
マグロやカジキのサクは、寿司ネタ用、刺身用がありまして、刺身用のサクは「高さ」を倍くらいにし、これは出来るだけ隅々の角をきっちりつけた長方形にします。しかし刺身用のサクから寿司ネタを切り出す事も、現場ではよくある話です。

平作り用、あるいは寿司ネタ用の低い長ザクからネタを引く場合、包丁を斜めにして切るんですが、最初の一切れが問題になります。よく見かけるのは始めの一切れを三角状に切り落とし、二切れめからネタにしていくやり方。多くの板前がこの切り方をしますが、これでは一切れめがロスになります。いわゆる「手クズ・切りクズ」になります。大トロなどは一切れがかなりの値段しますから馬鹿になりません。包丁をうまくきかせれば、長方形の角とはいえ最初の一切れからネタになります。下の画像の様な切りつけ方をすると無駄が出ません。
 
 



最後の一切れも大きく残すことでネタとして使えますから、サク全部を無駄なく使えます。


無駄を出さない切りつけの要領はこちらの記事で

サーモンの切りつけ 長ザクへ>>



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posted by 魚山人 at 08:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山

2007年08月03日

新子

シンコはおいらにとって夏のとどめみたいな魚です。
盛りは6月と7月。
過ぎましたが、まだいけます。

コノシロの幼魚で4cm、5cmくらいの小さいのをシンコと言います。
7cm、10cmぐらいはコハダ、13cm前後はナカズミ、15cm以上が成魚でコノシロ。出世魚だから名前が変わります。
親の方は冬や春先が旬になりますが、幼魚のシンコは夏場のみの季魚。



この世界のスタートは寿司屋からですんで、思い入れも一際ですわ。
何故かって、シンコってのはね、寿司職人にとって大トロなんかよりもずっと重要な仕事だからです。

コハダは塩の振り方、酢での締め方、一回として同じ加減って訳にはいきません。魚の状態が日によって違うからです。
自動化できない「職人の仕事」です。
シンコなんぞ、捌くとほんの3センチくらいにしかなりませんので、いっそう塩と酢の加減がデリケートになってくるんですね。

それがどういう意味かってぇと。

職人で(店で)味が極端に変わるって事です。

だからコハダ、特にシンコは食べに行く店が限定してきますね。
シンコやらせりゃ**の親方のヤツに限るって事。

大トロは仕入れで8割がた味が決まるが、
シンコは仕込みが8割以上ってことになります。

シンコと大トロ




まだ新米の小僧の頃ですが、
コハダは寿司屋につきもの、しかも安い。
だから仕入れでもトロ箱(木箱)でどーんと来る訳です。
小さいからってサバキが楽になるわけじゃありません。
ウロコを取り、頭を落とし、ハラワタを出し水洗い。
次に腹開きにして腹骨を取る。
数が多いから手間は大変でして、ウンザリしたもんです。



すし屋にとって大事な仕事だって気づいたのはずっと後。
それからは仕込みにも気合いが入ったもんです。


ニシン科の魚ですが、ニシンみたいに幻にならずに、いつまでも国産ものを食べていたいもんですよね。

シンコの握り



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posted by 魚山人 at 06:03 | Comment(2) | TrackBack(0) | 寿司 | 魚山