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2008年04月12日

梅酒5年物を利く

梅酒は普通初夏から夏にかけて主に食前酒として出します。漬け込みも6月頃ですかね。つまり少々気の早い話題になります。

梅酒を造っても酒税法違反にはなりません。
ただし醸造酒で漬ける場合は注意が必要になります。
アルコール度数が20度以上ないと酒税法違反になってしまうからです。

まぁ蒸留酒のスピリッツ系が無難でしょう。

砂糖は氷砂糖を使用するケースが多いみたいですが、おいらは果糖を使用しています。ただできるだけ解けるのが急速にならない様に複数をブレンドします。これは浸透圧で梅の成分を引き出す前に解けてしまわないようにです。先に糖分だけ溶けたら「砂糖酒」になってしまい、「梅酒」にはならないからですね。
普通の砂糖類で作るなら別に問題はないです。


10年ほどおくとコクが深まるといいますが、飲み頃は5〜6年かなと思います。これは好みなんで人それぞれではありますけどね。


こいつはちょうど5年目。そろそろ飲み頃です。
(数ヶ月の新しいのもフレッシュで悪くはないですよ)




出すときは冷やしますが、その前に試飲してみました。
梅酒はアルコールと糖分のかねあい、いかに糖分の「ベタ」をおさえ、梅の香りを引き出しているかがポイントです。

SN361629.JPG


「ひっかかり」のない爽やかな梅酒になってくれたみたいです。
オンザロックにする必要はなさそうです。

 


さて今年の梅はどんな按配でしょうか。


関連記事

梅の阿茶羅漬けと山ごぼう

タグ:梅酒





posted by 魚山人 at 08:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | | 魚山

2008年02月29日

泡盛古酒に合う肴

沖縄ブームもかなり下火になりましたが、「ブーム」が外れた方が落ち着けるってもんですね。ブームってのは五月蝿くってかなわねぇ。クースのでたらめブレンドも見かけなくなったし。泡盛党としちゃ嬉しいかぎりですわ。なにしろ3年貯蔵酒を50%以上入れればどんなもん(水とか)を足しても『古酒』で売るのが許されてましたんで、でたらめな酒も多い。3年ほど前から沖縄県酒造組合連合会で独自の基準が導入されて以来かなり改善されたみたいです。表示も正確になってるんで(古酒のブレンド比率とか)、よく分からないモンは避ければいい。信頼できるメーカーも徐々に分かりやすくなってきてます。



おいらが泡盛飲む時の定番の肴を紹介します。
スクガラス豆腐と島らっきょ

右の皿は『島らっきょう』です。ぴりっとした口当たりを甘味噌で和らげながらとポリポリ。そして左のはスクガラス、カーエー(ゴマアイゴ)を塩辛にしたのを島豆腐にのせて食べます。濃厚な沖縄豆腐を塩辛の塩分で食べる肴。


これはトオフヨウ。豆腐を麹発酵させたチーズ様の食べ物で、原型は腐乳豆腐でしょう。ごく少量を歯と歯茎の間に挿み、そこに泡盛を通過させます。
とおふよう


少しお腹が寂しいときはゴーヤチャンプルーもアテにします。
ゴーヤチャンプルー

喉に流し込む酒は当然クース。
20年古酒


最近入手が難しい春雨の古酒がずらり。
春雨の古酒コレクション

首里の140年物の古酒が現存の最古酒ですが、もちろん売り物ではありません。買えるものは40年が最古のようです。おいらは50年物ともっと古いのをご馳走になったことがありますが、記憶の底にしまった大切な思い出になってます。

究極の古酒(市販物で)
タグ:泡盛古酒





posted by 魚山人 at 15:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | | 魚山

2008年01月05日

ヒレ酒作って「ご苦労様」

明日の日曜(6日)まで頑張ってもらうしかないんですが、三が日も終わり、一段落いたしました。暮れの仕込みから、ろくに休みもなしに本当に良く頑張ってもらいました。週が明けても週末にゃ成人式連休が控えてますから、本当にノンビリできるのはそれを終えてからですけども。

グルメ漫画やらTVの影響もあるんでしょう、料理人を目指す若者は多いんですが、長続きしない子が多いのは、この労働環境の厳しさが大きな原因だと思います。

幸運にしてウチは板前に恵まれてます。
と言うか「育って欲しい奴が願い通りに育ってくれた」訳で。

「落ち着いたし、オヤジもやっとパソコンに座ってられますね」
ウチの板前。
「ってやんでぇ、このやろう。
・・・・・ご苦労さん。まぁ一杯飲めよ」
って事で、ヒレ酒で新年酒です。


ひれ酒は、トラ河豚の鰭を乾燥させて焼き焦がしたのに、熱燗を注いだものです。これは酒の飲み方としては、世界的に見てもとびきり【粋】な部類なんじゃねぇでしょうか。


まずは捌いたフグの鰭。
ヒレ

これに付いた身などを包丁で削ぎ落としまして、分厚いのは二枚に切り、薄くします。それに塩を振り、タワシ等で綺麗に磨き洗いして。
板などに貼り付けて、水分が完全に飛ぶまで乾燥させます。
【抜き板】などに貼って天日で乾燥させるのが理想ですが、都会ではなかなかそうはいきませんので、室内で陰干しにする事が多いですね。
乾燥中のヒレ


完全に乾燥したら密閉して保存すれば、かなり長期間保存可能です。


ヒレ酒の作り方は、
ホイルで包んで焼き網にのせ3分ほど蒸し焼きにして、その後取り出したヒレを直火で炙り焼きにします。火加減は弱火。少し焦がした方が香が出ますが、クロ焦げにしないように注意。


器にヒレを入れて、熱燗を注ぎます。酒は吟醸は避けて普通の酒にしましょう。中辛がオススメですが好みがありますので自由に。
フタをしてしばらくおいて、飲む直前にフタを取ります。


画像1


画像2

もっと濃厚なのが飲みたいって呑んべぇさんは、「骨酒」もあります。
これはトラ河豚の中骨を乾燥させたもの。

画像3

画像1、2、3の情報

タグ:ヒレ酒





posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | | 魚山

2007年12月25日

今年最後の酒飲み話

日本酒の飲み方V

下の二場面をイメージなさって下さい。
舌の奥が焼け焦げる様な灼熱の砂漠で出会う冷たい清水。
反対に凍傷寸前の手足が切れる様な、凍てつく雪山で出会う温泉。

これが美食の奥義で極意です

人間が極限の美味を感じるに、これ以上のシーンは無いでしょう。
ニコチンでべたついた舌や、合成調味で味蕾のマヒした舌を持つ大人よりも、敏感な赤ん坊の舌こそがグルメを語るべき資格を有するって事です。

大仰に出ましたが、実はたいしたことじゃありません。
日本酒を飲むのは真冬くらい、しかも何故か12月が特に旨く感じます。
その酒をいかに美味く飲もうかって話ですわ。


いつも辛い事ばかり書いてますので、今日は甘口の酒。
山田錦を精米する事35%。、こいつを冷と熱両方同時に味わってみます。







まずこれ。
寒ブリの皮。板前はこういうクズを酒肴にしなけりゃいけません。
捨てる様なモンを一品にするのが板前ってもんです。


秘密の漬け地につけます。


これを荒く作った氷杯(氷杯やカマクラはもっと丁寧に作りますが、お客用ではなく、自分用ですのでこれで充分。むき出しコンクリートの質感があり、荒っぽくて逆に好みです)に、こうして置きまして。


コイツを炙り、


香ばしく焦げたところに、純米大吟醸を。


その隣には、炙った皮を取出し熱燗を注いだヒレ酒様の熱々。
肴でありながら酒、文字通りの「酒肴」って訳。

熱燗で舌が絡んだら、氷酒で絡んだ舌を洗う。
酒は色々な飲み方がありますね。


酒飲み話色々 過去記事





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2007年12月06日

貴醸酒と般若湯

日本酒の消費は長年減少が続いています。
おいら達より上の年代に比べたら半減ってところでしょう。

若い時にね、「いつも二級酒ばかりじゃあれだし、たまにゃ特級酒でも飲むか」なんて言って特級を買って飲んだら、味なんて変わりない。内心「なんだこりゃ、ポン酒ってのはデタラメなんだなあ」そう思ったもんです。

消費者が日本酒離れした大きな原因は、
戦後日本酒の主流として売られている【三増酒】
それに、ねじれきって意味の分からない【日本酒級別制度】
このふたつですね(他にも色々ありますが)

三倍増醸清酒とは簡単に言えば「何倍にも薄めた混ぜ物酒」
特級、一級、二級で酒を区別してた日本酒級別制度は昭和15年から平成4年まで存在した酒税法上の日本酒分類ですが、1992年に完全に撤廃されたとはいえ、その後平成2年から新導入された製法品質表示基準による任意記載事項による「表示」も、分かりやすいなんて言えたシロモンじゃありません。

国税庁・酒造メーカー・業界団体が、消費者の存在を忘れて「いじくり過ぎ」たのが「不透明で分かり難い日本酒」ってイメージの元でしょうな。

何でそうなるの?
それはこの国のあらゆる場所で日常になってる「官と産」が民を無視して物事を進めるって構図がここにもあるって事でしょう、要するに。
まあ自分の首を絞める様な事を続ければよいでしょう。


そんな事はあるにせよ日本酒ってのはね、本当は美味いです。


日本酒の選び方なんですが大まかに分けると下の二種。

【普通酒】
一般に売られている「日本酒」のほとんどがこれです。
三倍増醸清酒、ブレンド酒も含まれます。

【特定名称酒】
本醸造酒、純米酒、吟醸酒、純米吟醸酒、大吟醸酒、純米大吟醸酒

日本酒度、甘辛度、酸度、アミノ酸度、なんて色々な情報が表示される様になって逆に分かり難いです。日本酒の製造は他に抜きん出て複雑高度な過程がありますから、完成品もそれなりに複雑なのは仕方ありません。けども、それじゃ「日本酒オタク」以外の普通の酒好きには不親切であり、結果としてさらに日本酒離れが多くなるだけですわ。業界も【差別化】に目の色変えてばかりいないで、ユーザーの立場にたった単純表示を考えて欲しいもんです。

三倍増醸酒とブレンド酒は避けて、特定名称酒の中から実際に飲んでみて自分の口に合う酒を選ぶことです。他人からどう能書き聞かされても、酒は嗜好品、飲んでみるまで好みに合うかは分からないからです。

あなたが美味いと感じた酒がすなわち「名酒」なんですよ。振り回される必要はありません。自分の舌を信じましょう
ヒレ酒

人は30歳を過ぎたありくらいから、自分が秘かに贔屓にしてる芸能やスポーツ人がブレイクしたの見る。そういう経験をするようになるもんです。
そんときの気持ちは「嬉しいけど、寂しい」って変なもんですよね。
最近ある漫画に紹介されて名が広まりつつある酒がありまして、それが【貴醸酒】です。おいらの秘蔵酒のひとつでしたんで、なにやらその「複雑」な気持ちになってるんですわ。

この貴醸酒、日本料理の研究文献としても重宝する『延喜式』(927年)に記されていた古代酒の製法「しおり」を参考に、国立醸造試験所(国税庁)が昭和48年に開発したものです。普通酒は酒米1に対して酒造水(蔵が使う天然水)1.3で作りますが、この水の代わりに「酒」を使って作った濃厚な味の酒です。

味は独特なんで、誰もが「美味い」って酒ではありませんけども、おいらは好きですね。深い「さわり」もさることながら、名前もいい。
日本酒の製造の一工程「醸す」ですが、この言葉は原始的な酒【口嚼ノ酒(くちかみのさけ)】から来てます。稲作が始まった太古から酒は存在したと考えられてますが、女性が生米を噛んで作る訳ですなその酒は。
貴醸酒って名は、幻の女王卑弥呼が自ずから作ったような感じがするじゃないですか。(ロマンってよりも妄想?)

若鶴 貴醸酒「琥珀」長期貯蔵30年 720ml
若鶴 貴醸酒「琥珀」長期貯蔵30年 720ml

華鳩 貴醸酒 二十年 熟成大古酒 600ml
華鳩 貴醸酒 二十年 熟成大古酒 600ml

華鳩 貴醸酒
華鳩 貴醸酒(きじょうしゅ)

何かと閉鎖的な日本酒の世界。もう少し単純化して裾野を広げてもらいたい。そうして若い層にその美味さを認識してもらわないと、日本酒も「外国の物」になっていく気がします。日本文化が国内で消えて、外国人に教えられるって現象が、【御神酒】の世界でも起きるなんて冗談じゃねぇですからね。
雨後の月 大吟醸 斗瓶取り 720ml


画像の情報



黄金色になっていた銀杏も消え去る寒の頃の風景を窓外に眺めながら、引き締まった身体に熱い燗酒をチビリチビリと流し込む。
それが日本の粋ってもんです。
nihonnsyu  atukann.sj114 44574 056


*般若湯は日本酒の隠語

(コメント欄に面白いリンクを張りました、日本酒に関心があれば飛んで見てください)


おまけ画像
日本酒を至福に味わうコツは、同時に海産物を食べる事と、適量(コップ2杯)を守る事です。


梵 原酒雪見酒&大吟
タグ:貴醸酒





posted by 魚山人 at 06:04 | Comment(8) | TrackBack(0) | | 魚山

2007年09月28日

地獄花と酒盗を肴に一杯

彼岸花(曼珠沙華)は、言うまでもなく有毒植物。
故に毒を嫌う動物を避ける為に、墓地などに植えられます。

水にさらすと毒が抜けると云われまして、昔飢饉があった時など、食用にしたとありますが(澱粉が多いから)、毒抜きが足らずに中毒者が続出してます。
間違っても口にするべきではありません。比較的よく見かける花ですので、子供さんをお持ちの方は注意して下さい。
日本では不吉な存在として忌み嫌われる傾向がありまして、当然和食で使うこともまずありません。飾りに使うのもいけません。
彼岸花

しかし、おいらはこの花が嫌いではありません。寧ろ好きです。
個人的な思い出を書いても仕方ありませんので省きますが、懐かしい気持ちになるからです。可愛い花も愛らしくて結構なもんですけど、ケンのある毒花もまた好し、ですね。


さて、板前やってますと日本酒との縁は切れません。やはり和食には日本酒が一番合うからです。自分飲みでも、日本酒でなくちゃってぇ場合もたまにあります。


これは焼津の磯自慢純米大吟。原料米に「愛山」を使ったのもありますが、おいらはやはり「山田錦」が好きです。
磯自慢



こいつは何かと言いますと、真ん中にあるのは「カツオの酒盗」なんですが、白ワインで溶いたチーズフォンデュに、コクのあるピザ用チーズを少量入れて煮たあと「ぐい呑み」ごと冷ましたやつにのせてます。

店では出しませんが、もちろん食べられます(笑
嗜好がありますので、真似しても美味しいと言う保証はしませんけども、カツオは乳製品やマヨネーズと相性が良い事は確かです。


カツオの酒盗はご飯と大変合いますが、名前からして酒のツマミに抜群です。


酒盗の作り方は単純で簡単なんですが、使用する胃と腸は一本からは少量しかとれません。もしカツオの内臓が沢山入手可能な人なら、手作りしてみるとよいでしょう。

カツオ酒盗の作り方

★胃と腸は縦に裂き、内容物をしごき落としながらよく洗う。

★薄塩をしてザルにとり、そのまま冷蔵庫で一日寝かす。

★水気が抜けた胃と腸を細かくカットして、その量の1〜3割の塩を加え煮沸した密閉容器に。

★数週間熟成させると出来上がり。
(内臓の酵素での熟成はゆるやかですから、出来れば半年とか長期がよいです)

*胃と腸の間に、袋状の「幽門垂」という器官があります。これが酒盗のミソ。独特の酵素で発酵を促して酒盗の味を作る働きをします。これを入れないと「カツオの酒盗」と呼べるものにはなりません。


画像      磯自慢   酒盗      






posted by 魚山人 at 16:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | | 魚山

2007年09月14日

グルメのかたち

酒ってカテゴリ作っておきながら、記事が殆どありません。
なんでこう冷淡に近い態度になるかちょっと事情を書きましょう。

日本料理界も含めて、どんな種類の業界でも腐った部分ってのがあります。
それがあまりにもひどくて、消費者からそっぽを向かれた業界が酒造業です。飲む人の事を何も考えないでたらめぶりは、商品にはっきりと反映し、さすがにうんざりして飲む人が減少。

でもそんな業者ばかりではありません。これではいけないと、飲む人の事を考えて地道にまともな酒を造ろうって酒蔵が注目されたのが、80年代の地酒ブーム。
でも中身が何か分からない、消費者に理解しにくい構造には変化ありませんでした。

その後のワインブーム。焼酎ブームでも同じです。
あまりにも消費者に分かり難い。
酒の種別等級すら曖昧で意味が分からない。
なんでそんなに分かり難くするのか。
簡単な事です。知られたくない事情が多すぎるからですな。

地酒ブームの頃、馬鹿高くなったのに美味しいとは思えない日本酒に疑問を抱いて、日本酒の原価や酒税のしくみを調べた事があります。その結果日本酒を飲む気が失せてしまいました。(一部の【純米吟醸】を除き)呆れ果ててものが言えなかったですね。

多かれ少なかれ、食品業界も似たような問題を構造的に抱えてます。グルメブームの支流で「本物志向」ってのがありますが、本物ってのは日本人にとって「本当のかつお節」のことです。
「かつお節」がブームになりましたか?
ならないのは、「業界の都合」なんですよ。
本当のかつお節が今どんな現状か考えてみて下さい。
「本当のかつお節」も削り器も、売ってる店を探すのがひと苦労。
それが「ブーム」ってやつの真の姿です。


少し話は変わります。
繊細な技巧の極みたいなイメージが和食にはありますけども、実はそのような日本料理の技巧は、便利な調理器械が蔓延る現在よりも、明治大正生まれの職人の方が上でした。名人の名を挙げれば枚挙にいとまがないくらいです。

どうしてそうなのか原因は色々ありますが、今の料理人は修行に入る年齢が遅いってのが理由の一つではないでしょうか。
名人達が修行に入ったのは殆ど10代の前半です。
そして30歳になる前に大体料理長になってます。

高校を出た年齢に修行に入るのと、
小学から中学初年度の時期に身体に叩き込まれる技術、
後者の年代に憶えた事は生涯消えないほど磐石。この差は結構大きいなと思いますね。今の日本料理業界に職人が少ない理由の一つではないでしょうか。

何が言いたいのかというとね、
「便利さと引き換えに失くしたもの」
秤にかけたとき、「失くしたもの」の方が大きんじゃねぇか。
それを感じるんですよ。

家庭から完全に「かつお節」と「こんぶ」が姿を消す前に、気づくべきなんじゃないでしょうかねぇ、「グルメ」って道は二本あって、おいらたち全員、今間違った「似非グルメ」の道を歩いてるって事に。

関連記事
「喪失した食」日本と中国
タグ:グルメ





posted by 魚山人 at 12:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | | 魚山

2007年09月05日

花一輪

いやしかし毎度の事ですが、成田は遠いですな。
なんで羽田から行けないのか。やっぱり国際空港は東京湾に作るべきだったんじゃねぇのか。今更ですけどね。
石原さんが知事の間にどうにかしてくんないか。まぁこりゃ都民の「わがまま」ってもんでしょうけどね、他の地域の方からみれば。


数年前の話です。港横浜の高層ホテルの中のバーで友人がバーテンをしてるんですが、そこでターキーのボトルを抱えてチビチビやってたんですよ。そうしましたら、「はいこれ」
黙って出されたのがしゃれたグラスに大吟醸、その中に菊の花びらが浮いてます。
ちょっと意味が分からずに、友と数秒にらめっこ。
「なんだい、これ?」
「だって今日は9月9日でしょ!」
「いつだったか、そっちの店で出してくれたじゃん、忘れたの!?」
瞬間「あー」でした。
自分でもお客に出す品ですけども、いきなりショットバーで出されるなんて想像もしてなかったのでちょいと驚きました。

菊酒.


ずいぶんすたれてしまった感じですが、9月9日は重陽(ちょうよう)。
陰暦ですから現在の10月9日ですか。
菊の季節になりますので、【菊の節句】ともいいます。
五節句の一つですが、他の節句にくらべ、影が少々薄くなっています。
季節感のズレなどが原因でしょう。

陰陽思想が根でしょうけども、昔から奇数はめでたいとされてまして、陽の極が2つ重なる9月9日はめでたい節句になるんです。

菊は古来から薬用に使われていまして、邪気を払い長寿を願ってこの日は菊の花を飾ったり【菊酒】を飲んだりしました。

料理としては重箱詰めの「おせち」があります。
「御節料理」っていうのは節句に作るもので、正月だけのものではないんですね。しかし今はもう正月料理に限定された感があります。
おせちは作るのが難儀としましても、節句にちなんだ菊花料理などでも、なかなか雰囲気が出るものですよね。

紅鮭菊花巻  ズワイガニと食用菊の甘酢和え

食用菊は独特の甘みと香りが特徴。

刺し身のあしらいによく使う小菊は別としまして

小菊

大輪の花をつける延命楽阿房宮があります。
延命楽は「もってのほか(もって菊)」と「かきのもと」
これはうす紫色。阿房宮は黄色です。山形産が多いですね。

阿房宮 もって菊

『阿房宮』は当然不老長寿願望で有名な秦の始皇帝にちなむ名ですし、重陽の宴ですが、周の穆(ぼく)王時代から800年あまり経ってもなお少年の童顔であったという慈童が、魏の文帝に仙術を授けたのが始まりらしく、慈童は不老不死の長寿を菊から得た事にちなんで、文帝はこの日を花の盃としたのが事始。
遣隋・遣唐使たちからこれが日本に伝わったといいます。

菊の花と長寿への願いはそれだけ密接だって事ですね。
『延命楽』と言う言葉も、それに沿って付いたものでしょう。

菊酒なんですが、魏の初代皇帝曹丕は虚弱だったのが菊酒で強健となり皇帝になれたって話が有名でして、三世紀頃にはすでに飲まれていたようです。

菊酒の作り方は色々とある様ですが、花を焼酎漬けにするのがどちらかと言えば一般的かも知れません。
広義には菊の花を浸した酒全般ですね。
しかしなんといっても有名なのが「加賀の菊酒」でして、菊の花びらを浸した水で仕込みをするというのが原点だそうです。
加賀の菊酒といえば酒好きにはたまらない大吟醸の代名詞、もちろん菊姫。友人がふるまってくれたのも菊姫でした。
超限定菊理姫
菊理姫

食用菊などははこちらの記事です         もって菊はこちら


食用菊は年々使われる頻度が減ってきてる感じで少し寂しい気がします。向こう付けにも膾を用いる事があまりなくなってきましたし、菊の節句にもお店では日本酒に花びらを浮かして出す程度です。

すたれてしまったとはいえ古来からのお節句、不老長寿に想いを馳せてってまでは言いませんが、忍び寄る秋の気配に耳を傾けながら、菊の香りのする酒を楽しむってのも、渋い趣向かもしれませんよ。

加賀の銘酒菊姫





posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | | 魚山

2007年08月26日

酒呑み話

実を言いますと、おいらはバーボン党です。
といいましても呑むのはターキーだけなんで、党など大袈裟ですが。

ワイルドターキーはキツイ酒ですが、特有の焦臭がある深いコクが、もうなんとも言えませんです。

ワイルドターキー

昔は日本酒もかなり好きでして、各地の地酒などを飲み比べて「ごたく」を並べたりもしたもんです(笑)
しかし、いかんせん日本酒は「甘すぎ」ますね。
どんなに辛口に造ろうと、独特の甘みは消えません。
原料と製造過程からしてこれは避けられません。

板前ってのは知る限りにおいて、日本酒好きが多いんですが、
はたしてどうなんでしょうね、これは。
しかしまあ、
嗜好は人によってばらばらですから、何とも言いようがありませんですね。

今はビールと同じく、
「最初のコップ一杯だけの酒」
そうなってしまいました。


ワインは日本酒と同じ醸造酒ではあるものの、原料などの違いから、
「べたつく甘さ」があまりないので、今でも好きです。
けど、これも飲みたいと思う酒は高額すぎて呑めない。
この点だけはバブル期が懐かしく恨めしい。

モンラッシェが一番好きですが、ご存知のようにロマネコンティは値段の桁が壊れてますよね。何かの間違いじゃねえのかこの数字ってもん。
隣のブログで紹介してはいますが、
買う人がいると考えているんじゃありません。趣味です(笑

この記事の画像商品情報などはその「趣味?ブログで」


それで現在はどんな呑み方してるかっていいますと、
ターキーは外出先や、ちょいと気取った気持ちの日に飲む、
「気取り酒」
要は酒を飲みたいときに呑む酒。

そして晩酌酒は、ここ10年というもの「泡盛」です。

沖縄では「久米仙」や「残波」などと並ぶ人気商品の
菊の露』ってヤツがお気に入りの泡盛です。

宮古島の泡盛なんですが、品質が大変に良く、それなのに安い。
一番良く売れてる「菊の露ブラウン」なんて沖縄じゃ数百円。

kikunotuyu.jpg

その菊の露は普通30度なんですが、
今凄く気に入ってるのが、珍しい40度の5年古酒
こいつがなんと言いますか、もう美味い!
知ってる方も多いでしょうが、プレミア焼酎なんてものは3万前後します。
(製造元がその値段にしてる訳ではない)
しかしこの酒は3千円もしない。十分の一ですわ。
それがね、へたしたらプレミアよりも美味いですわ、この酒。

こいつです
菊の露5年古酒1・8


宮古の菊の露酒造さん、
旨い酒をありがとうございます。
これからも変わらず「良心的なよいお仕事」を続けて下さい。
その姿勢は沖縄だけでなく、本土や世界でも必ず評価されますよ。





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Do not understand the heart of the person; if reject it, cannot understand the cooking  by魚山人