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2008年04月17日

和食の盛り付け2

 ■小高い山

日本の自然の大元は山です。その代表が富士山ですね。
その自然に習う日本料理の盛り付けに山形が多いのは当然かもしれません。とにかく料理というものはベタリと平面に盛り付けると食欲が湧きません。
立体感を出す。これが基本です。
ナイフ、フォークの西洋料理と異なり、箸を使うという点でもこれはマッチします。料理は食べやすくなければいけませんからね。
和え物、煮物、椀物、焼き物、刺身、前菜、ご飯、香の物、デザート、すべてに共通している盛り方です。こんもり小高く盛ると美味しそうに見えるんですね。雑な感じがする「山盛り」と区別する為には余白が大切になります。器に充分な空間を空けて品を良くして下さい。


■なぜ料理屋のように盛れないか

家庭ではどうしても盛り付けに失敗しがちです。和食の店で食べる料理との違いに首をひねりたくなるかもしれません。何故なんだと思うでしょう。
理由は非常に簡単なことなんです。
器に対して料理の量が多すぎるからです。
これはある程度仕方ありませんな。チマチマ出してたら家族が怒り出してしまいますしね。しかし美味しく感じる分量ってのはプロが作る料理屋の品が上だと思います。大皿と取り皿を上手く利用するといいのではないでしょうか。

お椀の汁の量は器の6分目多くても7分目。
他の器でも和食器には必ず6割以上の空間を空けてみて下さい。
それで貧相に見えるのは「立体感」が無い又は「配置が悪い」からです。
和食器が美しいのはね、余白も食わせる為です。空間も料理だという事なんですよ。


■枯山水

白砂や小石を敷いて水面に見立て、石の表面の紋様で水の流れを表現した寺 などの庭園を「枯山水」と言います。一見意味の無い配置で石が置かれていますが、あれが和食盛り付けの基本形であると言えます。自然を抽象的に表現したものであり、あれをもっと素直に表現したものが川・池・築山などを配置して立ち木を入れた「築山泉水」です。山水から水引とも言えます。他に茶に突出した茶庭で「露地」と言うのもあります。兼六園のが有名ですね。
ああいった日本の美は何を表現しているのかと言えば、日本の自然のミニチュアですな。山から海に流れていく風と四季です。
わざと年代物の敷石や苔を入れ、さらに風雪の重み(歴史)をも味わえます。日本の小さな自然の一部を再現しつつも、そこに宇宙的な広大さと深さを思惟できる一つの世界になっているんです。仏教に学びながらも独自に哲学を深めた日本文化の「核」が凝縮されているんですよ。それが侘・寂です。
そこには日本独自の「美意識」があり、日本料理もそれを映すから美しくなるんですよ。日本料理を作る人は穴が開くほど名庭園を御覧下さい。盛り付けの基本を理解できるはずです。
はっきり言える事は日本国土の独特な地形です。山が海に迫り出し、平坦地が極端に少なく、大部分の日本人はその狭い平坦地で生まれ暮らします。
そこからの景色はどうでしょうか?
「自然に山を見上げるかたち」になりますね。
ですから日本の自然を模した庭園も「手前低く、向こうが高い」造りになります。これはそのまま和食の盛り付けのルールになります。
高きから低きへ流れる」ように盛り付けます。
侘・寂には無い「躍動」も自在にアレンジする事も場合によっては必要ですよ。


■盛り込みの主従

たとえ単品の焼き物であってもあしらいなど添えをつけます。
脇役があってこそ主役をより引き立てる効果もあるんです。
主役の第一義は「大きいもの」ですね。
この場合は先に大きいものから盛り込まないと上手くいきません。脇は後で盛ります。
次に材料別の「品格」というのがあります。
例えば海山を含め最高の格を持っているのが「真鯛」です。横綱です。
では鯉や鮎と比べて、ヒラメはどうなのか、鮎は女王、鯉は縁起物ですからね。普通に考えれば鯉・鮎が勝ちそうですが、この場合格はヒラメが上なんです。
何故かと言いますと、魚類は海のものが格上なんですよ。ですからこれらを盛り合わせるときは主役は鯛・ヒラメで、脇が鮎や鯉になります。これは貝類でも同じなんです。タニシとハマグリではどちらが格上か分かりますね。
鶏や合鴨よりもキジや猪のほうが格上。野菜より魚や鳥獣肉が格上。
こういう主役脇役の決まりがあります。
どちらにしろ主役は目立つ位置に盛り、「センター」とします。
脇役が主役を食わない様に配慮して下さい。


■椀

椀物は和食のみせどころ。具の美しさと出汁の香りを堪能する料理です。出汁などは最高の鰹節と昆布で神経を使って丁寧に引きます。吸物同様に心を配ります。家庭では正月の雑煮や潮汁などで御馴染でしょう。
椀物の盛り付けは「汁を張れば壊れる、浮く」のが悩みのたね。
丁寧に作っても卓に出すまでの間に壊れることがありますし、汁を張ったその瞬間に盛りが壊れることすらあります。味噌汁では気にする必要もありませんが、丹精込めて作った具がぐちゃぐちゃになった椀物はお客様に出せません。
汁で浮かないものを椀の主役にしましょう。椀の大きさと張る汁の容量から暗算して材料の体積を割り出します。経験が深いなら勘で割り出せます。
脇となる材料は主役に立てかける様にしてできるだけ安定させます。吸地に浸す部分を考慮すれば浮いたりしません。
椀盛りも吸物も吸口は必ず吸地を張った後で加えます。


■角には丸、丸には角

合理性が無いのが和食の盛り付けを美しくみせます。
非対称にして立体感を出します。
山水には対称性や合理性はありません。自然は深い大きな部分では非常に合理的で、その究極が「円」ですね。しかし宇宙の深遠はそうかも知れませんが、和食は自然の侘・寂を映せば良いのです。ありのままの「美」です。
それが山水盛りであり盆景だったりします。
丸い器に盛る時は鋭角な線を持たせるようにします。
分かりやすい例は、丸餅を曲げ物に盛るときに丸い器ではなく角の器に盛りますね。丸に盛る場合は山(三角)にして頂点の鋭角を出します。柔らかで角の無い料理は丸い器に合いませんので、直線的になる料理を盛りましょう。三角を描くのが丸器に料理を収めるコツです。
角の器に鋭角な線がある料理を盛ればギスギスしてしまいます。非対称を意識してアンバランスなバランスをとるように盛りましょう。対称線はどう引いてもかまいませんが、円を基調とする柔らかさを出します。


■美味しい色

和食の盛り付けは主役が自然に引き立つようバランスを考慮します。
配色でそれを邪魔してはいけません。あくまで主役が持つ自然の色合いがメインになります。添えが目を引くほど出すぎてはいけません。とにかく控えめに色は使います。しかし一つだけ例外の色がありまして、それが「青味」です。厳密に言えば「緑」のことですね。この色は料理になくてはならない色で、必ず使うべき色でもあります。考えるまでもなくヒトの遺伝子に自然の緑が食事に結びついてる事が折り込まれているからでしょう。ごちそうの色と言うわけです。加熱で緑を失くさない注意をして、ふんだんに利用しましょう。


■良い物をみる

盛り付けを急激に上達させるコツがたった一つだけあります。
それは「みる」事です。ただし何を見ても良いという訳ではありません。
最高のお手本」例えば料理なら志の島忠先生クラスの盛り付け。
器なら人間国宝などの逸品。そして先の日本庭園。
それが感動的であればあるほど記憶の底に焼きつき、結果としてあなたのセンスも磨かれることになります。

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日本人が失ってはいけない何か

余談になりますが、
しっかりした若衆に恵まれてますので、留守を憂うことなく旅に出ることができます。それで時々地方を回ります。

深い森で濃い緑の香りを肺に吸込むのが何よりの楽しみ。
そしてもう一つの楽しみがお地蔵さんです。
限りが無いほどの優しさを秘めた地蔵さんの笑顔が、たまらなく好きなんですよ。

山路を行き交う人々を、つい立ち止まらせる磁力がお地蔵様にはあります。無限の慈悲を宿した菩薩のお顔を拝してますと、何故かお礼を言いたくなり、人は手を合わせてしまうものです。

それとは別にすごく気になる石碑がありまして、それはヒビが入り、まるで石隗のようになってしまってる路傍に建てられた馬頭観音の石碑です。酷い場合はまるで石ころ。でも立ち去り難い魅力を感じてしまいます。

自分も石隗になり、森の自然や小鳥達を毎日眺めていたい。そんな気持ちになったりします。風雪で少しずつ朽ちて行き最後は風に運ばれ消え去る。

道祖神も含めてこういった石仏にはね、日本人が失くしていく何かが、きっちり宿っている気がするんですよ。それが何かを説明するのは難しい事です。でもね、じっくり地蔵さんのお顔を眺めてみて下さい。人の心を映してくれることが分かるはずです。

子供を持つ親御さんは、我が子にお地蔵さんの優しい笑顔を見せてあげて欲しいなぁ、なんて事を思います。地蔵さんの笑顔の奥にある慈愛が伝染する、そんな気がするんですね。

殺伐とした心を持つ今の子供達がお地蔵様のお顔を見たときに、何をどう感じるのかすごく気になります。それは多分今の日本を推し量るバロメーターでもあるんじゃないでしょうか。
タグ:盛り付け





posted by 魚山人 at 06:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 和食料理の基本 | 魚山

2008年03月13日

板前が教える和食のコツ

和食料理のコツみたいな事を箇条書きにしてサイドバーに貼ってあるんですが、どうもチマチマして見難いこともあり、続きを書き足すにはちょいとキツイ。
そこで和食のコツをQ&A風にしたページを作ることにしました。このブログを始めてから2年近くの間に頂いたコメントやメール、それに検索ワードなどから魚山人風にアレンジ(想像又は妄想?)を加えて一人二役って按配です。
暇を見つけて書き足していく予定です。


料理素材の処理

●サザエの身はフタが閉まると取り出せない
☆取り出せない事はありませんが、貝剥きが挿せなくなる場合もあります。こうした時は器に水を張り、上に箸を二本渡してフタを水に向けてサザエの殻を置いておきます。すると水を求めてフタを開けて身を出しますので、あとは身をつかんで引き出せばOK。これを『さそい水』と言います。

●魚はなんで臭いの
☆そう言われても困りますが(笑
実は新鮮な(生きてるのに近い)魚は臭くありません。
臭みが出る部分はヌメヌメと血、そして内臓を包んだ膜です。これらの場所は死んだ後に一番早く悪くなる、つまり臭くなるんですね。放置しておけばその臭みが魚全体に回ってしまうという事です。だから手早くこの部分をキレイに排除しなければいけません。そうすると身を臭くするのを防げます。

●米は洗剤で洗ってもいいですか(←ウケ狙いではなく実話
☆いけません。
米を洗う目的はヌカを洗い落すことだけです。つまりしつこく洗ってはいけませんので、洗剤は不要なのです。
そもそも食品は水分を吸い込むものです。従って「すすぎ」でも落ちません。これは洗剤の成分を食べてしまうという結果になります。食べ物を洗剤で洗ってはだめです。

●米はガシガシ力を込めて何度も洗いなさいと教わった
☆それは精米が荒かった昔の話です。今の米は一度洗えばぬかが落ちますし、ガシガシ擦れば割れてしまいます。割れ米を炊いても不味いだけです。
コツは最初の水はヌカがたくさんありますので即捨ててしまうこと。ぐずぐずしてるとヌカ臭い水を米が吸ってまずくなります。

●安い米なのでふっくらおいしいご飯になりません
☆それでは炊く直前に酒とみりんを少しだけ入れてみて下さい。各大さじ1でいいです。それで見違えるご飯になりますよ。

●古い卵はどんなの
☆卵は痩せます。
少しずつ水分が蒸発して気泡が大きくなっていきます。だから古い卵は塩水に入れると浮いてしまいます。慣れると手に持っただけで肥えてるか痩せてるか分かります。

●冷凍えびを美味しくしたい
☆酒に塩を加えた酒塩に浸けてから料理してみると良いでしょう。
☆冷凍エビは自然解凍してはいけません。水で解凍しないと外側だけが乾燥してしまうからです。理想はシャワーを使った流水解凍です。この場合ボールよりザルで水を逃がした方が美味しいエビ料理を作れます。


だしのとり方
だしのとり方には細心さを持つ

●だしを引く昆布に切れ目をいれておくと良い
☆全然良くありません。
確かに旨味成分は出やすくなりますが、それ以上に余計なもんが出やすくなってしまうからです。ヌメリや臭みなどです。生臭いだしは最低です。昆布は拭き取るだけにしておきます。

●沸騰した湯にかつお節を入れる
☆間違いではありませんが、そのまま入れると渋みやえぐみが出ます。つまり昆布と同じ。それに出汁が濁ります。そこで盃一杯の水を差して湯を静めてから入れます。薄削りの一番は煮込んでいけませんのですぐに火を止めます。二番は少し煮込んでかまいません。

●だしを漉す布は何が良いか
☆これはネル地に限ります。他のものは考えられません。
袋を作っておくと良いでしょう。だし漉し専用にして他の用途に使ってはいけません。だしは腐敗する成分ばかりですのでよく洗って乾燥させておきます。清潔に。

●かつお節はまだまだ出汁が出そう、もったいないから絞ってみる
☆だめです。
確かに出汁はまだ出ますが、絞ってはいけません。臭みや濁りが出てすべて台無しになってしまいます。お惣菜用の二番に使えるし、カスは甘辛く煮るなり煎るなりすればご飯のおかずになりますので、けちってはいけません。大胆に使うほど美味しいだしになります。

●だしを作り置きしたい
☆残念ですが洋風出汁と異なり和食のだしは作り置きできません。
冷凍保存も無理です。そのつど少量ずつ作るからこそ、あの香りが出るのです。

●いりこだしのコツを教えて
☆これもかつおやこんぶと同じく余分な臭みや成分を出さないのがコツです。
じゃこの頭と腹はちぎり取っておきます。水から沸かして(じゃこを入れて)沸騰直前になったら火を止めます。沸かしてはいけません。漉す前に焼いた鉄箸をジュッと差し込むと臭みがキレイに消えます。

●昆布で品のよいだしを引きたい
☆昆布は加熱すればするだけ味が落ちます。
従って上品な昆布だしを引きたいのであれば『水引き』にします。
水の1割量の昆布を夏場3時間、冬場5時間水に浸けておくだけです。それでだしが出来ます。加熱する場合でも沸騰前には必ず取り出す様にしましょう。

●良いだし昆布の見分け方は
☆白い粉がたくさん吹いている昆布が良い昆布です。この白い粉は旨味成分ですから水で洗い流したりしないようにして下さい。軽く拭くだけでOK。


その他料理の知恵


●卵白を泡立てるのが下手で困っています
☆では卵1に対し酢を小さじ1加えてやってみて下さい。

●不器用なので卵白と卵黄を上手に分けられない
☆100円ショップで「じょうご」を買いましょう。
コップにじょうごをさしてその上で卵を割るだけです。

●柿が大好きだがデザートは飽きた、他の食べ方は
☆柿は酢と相性が良いので膾にします。
☆また柿は油とも相性が良いです。天ぷらにしてみましたか?
酒を振ると柔らかくなる性質もあります。


 ●焼き魚はどっち側から焼けばいいのか
料理本によって書いてある事が違いよく分かりません
☆「盛った時に表になる方から焼く」、が基本です。盛った時に表になる面から焼くという部分が本によって表現が違ってくる場合があるようです。これは料理屋と家庭の熱源が違うからだと思います。上火か下火かで逆になる訳ですからね。もうひとつは串か網かという事。専門家は串が多いですが家庭で串を用意してる方は珍しいでしょう。串の場合はね、上火のときは裏を、下火のときは表熱源に向けて焼けば良い。熱源と反対の側に脂が回り込み汚れてしまうからそうするんです。最初に焼く反対側が汚れってしまうってことです。結局表になる面を綺麗に仕上げるのが目的です。家庭でも同じ理屈です。

このページは時々巡回して更新して行きます。

右サイドバーの『知っておくと便利料理メモ』も御覧下さい。






posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(2) | TrackBack(0) | 和食料理の基本 | 魚山

2008年01月24日

細工巻の作り方・飾り巻きの基本(3)

細工巻/飾り巻き寿司の作り方です

話は逸れますが、昨日東京に本格的な雪が降りました。
降りながら解けちゃう細雪ではなく、実のある大玉。
半日足らずで雨に変わりましたので、恒例の「雪に弱い首都圏」って有様にならずにすみましたけども。やはり子供時代に比べ降雪が減ってると思いました。

それとね、雪を見て何かを感ずる「感受性」も減ってるんじゃないかい、おいら。そう思いましたね。雪の結晶がありますでしょう、若い時にあれを見て「綺麗だなぁ、何かこんな料理を作ってみたい」なんて考えたのを思い出しました。

その頃は寿司をやってましたので、あの結晶の模様を巻物にしてみようとしました。簡単にはいきませんでしたが色々試行錯誤したもんです。そのうち、20代後半くらいでしょうか、「技巧が由とされ過ぎる日本料理は少し料理として変なんじゃないか」という考えになってきまして「食べる物は芸術じゃない。長く残って行くのが芸術だ。要するに料理人が芸術家ぶるのは妙チクリンな話で、職人が正しい」そんな思考に変わってきたんですよ。食物は消えていくんです。どうしても芸術家を気取りたいなら、彫刻家や絵描きに転身すればいいんですよ。

食べる人に喜んでもらう。料理はそれでいいんだと思います。

手の込んだ精緻な料理は人を感動はさせます、けどね、感動と喜びは別なんですよ。箸が出せない様な立派なのは料理と言えないってことです。飾り物と食べ物の違いですな。もうひとつ言えば、美しい物を作るには手順が絶対必要でして、それを料理に応用すれば栄養と食感を犠牲にしてしまいます。それも料理として違うと思う。

変な寄り道をしましたが、今回紹介する細工巻も、技巧を凝らせばいくらでも精緻なものが作れます。しかしそんな物よりも、一輪の桃の花や、アンパンマンの顔の方が確実に「喜んでもらえる」と、おいらは思うんですよ。

梅鉢巻きの作り方

梅と桃を紹介しますが、材料は共通してます。
これは基本的な具しか使用してませんので、ボイルした青菜やカンピョウ、山ゴボウ、ソーセージ等いくらでも独自に加えてみるとよいですよ。食べれる物なら何でも可です。
ウインナ型のチーズ、厚焼き玉子、おぼろ、桜でんぶ
(おぼろは鮭や海老などを細かくして炒ったものです)


花の芯を先に作ります。
角に切った卵焼きの角を切って丸くし、それを薄焼き卵で巻きます。


おぼろを混ぜ込んだピンクの寿司飯を用意してそれで小さな細巻きを作ります。


それを5本用意し、芯の卵焼きを中心にして仮巻きします。


その仮巻きを芯にした太巻きを作り、巻簀で整えます。


梅鉢巻きが出来ました。
梅巻き


桃花の巻き方

同じ手順ですが、花びら部分を三層にします。
まず桜でんぶ、その上におぼろ飯、その上に白いシャリ。
  

これも5本用意し、今度はチーズを芯に仮巻き。それをノリではなく卵焼きで巻きます。
  SN361472.JPG

桃の花が出来ました。
飾り巻・桃の花


桃の節句は勿論ですが、何かの時のお料理に、ご飯代わりとしてこれを出すと華やかさを演出できますし、なにより出された人に喜んでいただけるんじゃないでしょうか。皆さんもお節句に向けて練習しておくのもよいかもしれませんよ^^
細工巻き>梅鉢・桃の花.


菊花巻きの作り方

ついでですので、もっとも多用される花、菊も紹介しておきます。
やり方は同じですが、色は黄身おぼろでつけます。

普通はこれを12本巻き込みますが、12弁菊は慣れた人でもかなり難しい仕事ですので、簡易版の6弁を紹介します。手順は上と変わりません
菊花巻き・六花弁


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posted by 魚山人 at 06:00 | Comment(4) | TrackBack(0) | 和食料理の基本 | 魚山

2007年10月19日

鍋物の美味しい作り方

美味しい鍋物のポイントはスープにあります
鍋ものは日本各地に数えきれないほどの種類がありますけども、どの鍋も、基本的にはスープがものをいいます。


ちり鍋、しゃぶしゃぶ類も旨さの裏味はスープで、良い水(天然水が無ければ水道水を5分以上沸かした水)に前の晩から良質の出汁昆布を浸けておいたもの(これはスープとも言えますので)で作ると味わいは一際ってもんです。


鍋の楽しみは最後の雑炊やうどんでもあるんですが、当然ながらこの味を左右するのもスープです。
美味しいスープの基本は良い素材で出汁をひくこと。
植物系、動物系、どちらにしても良質の素材の、良い出汁の出る部分を選びます。


例えば石狩鍋。
石狩鍋
これは鮭の出汁に塩味だけのもあれば、味噌を加えたり、酒粕、牛乳、バターなどを加えたりして「進化」しました。これらは「隠し味」になります、裏味ですね。
この進化があって石狩鍋は地方区から全国区になったと言えます。これにアンチョビペースト、豆腐よう、とかをさらに加えたりして、好みの味にします。

美味しい鍋物のコツ、つまり美味しいスープを作るコツは、固定観念にとらわれないってことになります。

要するに鍋物を美味くする秘密は「隠し味」にあるんです。

個別に詳細は書きませんが、ヒントを列挙しておきましょう。



いしる 雲丹ひしほ

鯛ひしほ しょっつる

酒粕. すだち酢


沙茶醤.《李錦記》オイスターソース(赤缶)腐乳(赤.
白湯スープシャンタンヤンニン
コチジャン蝦醤トムヤムペースト
ニョクマム ネギ油 いわしエキスフィッシュソース(ナンプラー)



肝心なのは、「隠し味」を「表味」にしない事。
量はあくまで控えめにしないと、失敗します。
同系の物を使うのも基本。魚には魚エキス、鳥にはチキンエキスといった按配。基本ですからエスプリは構いません。魚にチキン系も試すという感じ、ピタリ決まらないとメチャクチャになるので注意ですが。
正しく使って下さい。
そしてもうひとつ、下段のアジア系調味料、これらを使用すれば確実に味の幅が広がり、深みも増しますけれど、こういったのはニンニクが入ってる事もあるし、簡単に日本料理の店で出せるかどうかは別問題です。使用に際しては熟考が必要かと思います。
おいらはどちらかと言えば慎重です、というか、店では殆ど使いません。賄いとか家庭用が多いです。

そして出来たスープに、魚、肉、野菜を加えていく事で、それらの旨味が溶け込んで、さらに濃厚なスープになり、それを一滴残さずいただく為に、雑炊が待っている、って段取りですな。
丸雑炊


家族の絆が薄くなっている昨今、鍋は貴重な食文化です。
ひとつの鍋を皆で囲んでつつく、このスタイルは江戸時代以前にはなく、比較的新しい形ですが、大変良いと思います。
子供時代に味わった良い味覚は、記憶の底にいつまでも残ります。そこに家族の団欒の記憶も加味される事で、その人の人間性に厚みを養う結果にもなりえることでしょう。
家族で囲む鍋料理


最後に基本的な鍋料理の注意点を書いておきましょう。

魚の下ごしらえは完全に。
(血やウロコなどの残ったまま鍋に入れれば、生臭いだけの魚汁。下煮<霜降り・湯引き等>して綺麗に洗ってから)

スープは薄く作る。
(吸い物は最初の一口、鍋は最後の一口)

沸騰は最初の一度だけ、あとは沸かしてはいけない。
(「しゃぶしゃぶの湯」も「すき焼き」も同じ)

アクは丁寧に取り去る。
(これをしないと、最後の雑炊が不味くなります)

香りの強い野菜で素材をころさない。
(香味野菜はクセのある魚貝・肉とあわせましょう)

水気の多い野菜は下煮する。

スープが残ったら、煮こごり状態で保存し(冷蔵庫に入れておけばよい)、お惣菜の煮汁にしましょう。
(栄養素<旨味>が溶け込んでいます。一滴残さず使いましょう)

関連記事  鍋のお話

画像など

鍋料理  石狩鍋  高級だし昆布  昆布の種類 

  鶏ガラ  アジアの調味料  すだち酢   酒粕 

しょっつる ・鯛ひしほ・雲丹ひしほ・いしる



どんな料理でもそうですが、料理作りは「もてなしの心」です。
誰か大切な人の為に、あるいは自分自身を労う為にでもかまいません。つまり、「おもいやりの気持ち」これがないと本当の料理とは言えません。要は自分の心を表現するものです。
そういう料理を作る時、人は自ずと創意工夫するようになります。
我々料理人も、最初は模倣から料理作りを始めます。
しかしこれは「基本を身につける為」でなければいけません。
他人の考えたレシピを再現するのが習い性になってしまえば、創造性が身につきません。「心を失う」可能性がそこにあります。
「なげやり」になったら成長は終わりです。小手先だけ器用になったところで、美味しい料理が出来るでしょうか。人は料理を食うにあらず、「気持ち」を食べる生き物です
少し偏屈なのかもしれませんが、そういう考えですので、このブログにはほとんどレシピを載せていません。
もてなす気持ちがあれば、アイデアは湧きます。
そのアイデアを大切にして下さい。
そうするための入り口、「基本」、これを触発できるブログにしたい、そう出来れば、これに勝る幸甚はありません。
このブログを読んで下された皆様の、料理の腕前(心)がひとつ上がる、そうなってくれればとても嬉しく思います。





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2007年10月08日

箸の持ち方

箸の持ち方 なんて、書く事が無くなった(ネタ切れ?)挙句、とうとう箸の上げ下げにまで口を出そうってケチな話じゃござんせん(微妙ですが(笑)

和食の板前が、包丁よりも頻繁に使うのが真菜箸(盛り箸・鉄箸)でして、仕事中はこれを手元から離しません。武士の刀じゃありませんけども、腰に差したり(前掛けの結び紐)、後ろのポッケに差したりしてる板前もいます。それだけ使用頻度が高いって事でして、その意味で和食料理の基本中の基本でもあります。

それだけ大切なもんなのに、意外ときちんと持てない若いのが目立ちます。それにここにも書きましたが、そもそもこれで食べ物を挟めるとは信じられない持ち方をしてる人が非常に多く、タブーとされてる持ち方が存在してるってことすら知らない様子です。


箸の基本的な使い方

箸は鳥の嘴形になるように持ちます。
二本のうち、下の箸は固定して動かさない様にします。
作用させるのはもう片方の上の方で、これを中指で動かします。
一般的にはこんな形です。
箸の使い方 基本


ところで盛り付けは細かい作業になりますので、力の加減や作用のさせ方は上記とまったく同じなんですが、中指で作用箸を支える代わりに、人差し指で押さえる人(おいらもそうです)もいます。これは人差し指のほうが神経を集中させ易く、デリケートな動きに対応できるからです。

箸使いの基本はまったく同じです。
嘴状に三角になってないと箸で物を挟めません。
箸使い1


箸使い2


下の箸はしっかり固定して動かしません。上だけ動かします




これは米粒です。
こうやって一粒ずつ挟んで、細かい作業ができる練習をします。






板前になろうって方は、こうやって練習して、胡麻粒くらいの小さな物でも挟める様になって下さい。


プロ用黒檀盛り箸






posted by 魚山人 at 08:17 | Comment(6) | TrackBack(0) | 和食料理の基本 | 魚山

2007年09月11日

「喪失した食」日本と中国

ホームページは当たり障りのない事しか表現できませんので、ある面人任せにしたほうが良いという考えでして、実際そうしてます。
で、自分は好き勝手の出来るブログをしてるわけですけども、「好き勝手」っていうのは、かなり継続が難しいものだって最近感じますねぇ。
いつの間にか保守的になってたりします。
久々に鹹い事でも書きますか。



大きな食品販売店へ行きますと、とても数え切れない程膨大な食料品の山、その彩りに圧倒されます。
しかしね、おいらはその前で悲しい気分になります。

見てくれの良さと甘さを念頭に置いて、品種改良を続けて来た果物や野菜。整然と同じ形で、きれいに整列できている背後に【農薬】の存在を感じます。米や農産物全般も同じ。

人工的な、締まりの無い、おまけに妙な香りのする「脂がたっぷり乗った」肉や魚。油を塗ったくったような大トロや中トロ。板前から見たら気色の悪くなるマグロの赤身。病的な牛のサシ。薬品臭のするブロイラー。工場で人工乾燥させる「干もの」

要するにここにある何万何十万って食べ物の中に、
「まとも」な物が皆無に近いって事が悲しんです。

味噌に塩、砂糖、醤油、油、味醂、酢だって例外ではありません。


整然と並んだ「人工的な美」、それを美しく高級に感ずる感性。


そして外食では、まっとうな板前ならば、絶対に口に入れる事は無い、真っ白い色した「エンガワ」と称するモノの人気ぶりに茫然。
保証できますね。壊れているのはおいら達の舌ではなく、人気ぶりのほうだと。

こうなった背景は簡単な事で、砂糖や塩が辿った歴史を100年ばかり遡って調べたら、すぐにお分かりいただけるでしょう。
結論から言えば、「日本経済の発展」、全てはここに収斂するんだと思います。日本が高度経済成長を果たした代償でしょうね。

ここ20年来続く「グルメブーム」は、失くしてしまった食への【懐古趣味】、皮肉っぽいかもしれませんが、おいらはそう捉えています。
グルメブームそのものは、料理人としては言うべきではないかもですが、好きではありません。
結局、本当に美味い物は、金持ちしか食べれないという事実を証明して行くだけが本質だからです。

例えば誰も知らない滋味の深い食べ物が田舎に埋もれているとしましょう、発見されたとして、それは結局大衆のものにはならず、値段がつり上がっていく運命です。それがグルメブームの姿。もう一つの道は、企業が大量販売に乗り出し、その味を均一にする技術を確立する事。その均一化された味はもう本来の滋味とは別物になっているでしょう。

ですが、長く続くグルメブームも、無駄ではなかった思うところもあります。
日本経済に一定の貢献をしてきた、反面、日本人の健康と舌を破壊してきた「食塩」の専売が終わり、自然塩をやっと取り戻しつつある事。
20年前に比べれば明らかに砂糖水みたいな「飲み物」を好まない人が増えている事。食材に関心を持つ人が増えた事。

そうは言いましても、巨大な食品売り場のフロアで、おいらは失くした物の大きさに呆然と立ち尽くしてしまいます。
減塩が良いとなると、酢に漬けたすっぱい梅干だらけになって本物の梅干が見当たらなくなってしまう現状をどうすりゃいいのか。噴出を続ける日本企業のモラルハザード。氷山の一角の確信。

仮にね、おいらが自分の思うような食材を自給できるとします。
世の中の食品は「人工」から逃げられないんでしょうがねぇ、自分で調達するってわけです。太陽の光。清い空気。これはなんとかなるでしょう。けどもね、一番肝心な「汚れのない土」と「汚れてない水」と「汚染のない海」、これをどうしたらいいんです?タイムマシンで過去に戻る以外にないですな。非現実的って事です。

そんな事にはなりはしませんが、もし万が一日本国内で食材の「人工汚染」がきれいに解消したとしましょう。
そしたら中国の問題が浮上します。
あの国はね、日本が何十年も前にやらかした、同じ轍を今踏もうとしてるんです。天然の滋味の深い、しかも体にも良い「岩塩」を、人工的に作った「薬品」みたいな不味い「食塩」で追い払おうとしているんですよ。

背景には当然経済効率優先があります。一事が万事その調子で、「本当に良い物」を消し去ろうとしています。

整然と並んだ「人工的な美」を踏襲しようとしてるんですわ。

昨今日本で中国の食品管理のずさんさが問題になったりもしてます。
笑っちまいますね。

ではこの国の食品は「まとも」だと言いたいんですかな?

そもそも中国製品が消えたら、日本のスーパーは、いや全ての商売がです、翌日から営業できないってご存知なんでしょうか。

この国が経済成長の真っ盛り、東京湾は「ドブの悪臭」がしてました。
その道を辿ろうとしてる国を「批判するだけ」の姿は利己的ってモンです。

そして中国がある程度成長を果たしたら、今度は中国自身が、ベトナムやタイといった国から同じ問題を突きつけられるでしょう。同じ道を辿れば同じ苦しみを味わうって事になります。

自分の国が自動車だらけなのに、中国や他の国の国民に、「自動車に乗るな、空気が汚染するから」って言えんでしょう。食品もこれと同じ構造です。

チェルノブイリの食品汚染が例でして、ひとつの国で「自己完結」するなんざ現代ではありえないって事実。環境に国境は無いからですね。


本来は当たり前なはずの「まとも」な食べ物。
それを手にしようと思ったら、膨大な手間とコストがかかる現状。
それならまだしも、入手不可能なモンが多すぎる。
どうしてこうなっちまったのか。
あまりにも異常すぎないか、それともこれが「世の中」ってやつなのか。
それなら「板前」って仕事に意味があるんだろうか。

年々不味くなっている魚をみながら、
「あと何年魚を捌くモチベを維持できるのだろう」
などと考え込んでしまいます。
「潮時」ってのは意外と早く訪れるのかもしれません。


おいらは「沖縄の食」にかなり昔から注目してました。
グルメブームの悪しき風に良く耐えて、郷土食の伝統を守り続けてるからです。沖縄の若い世代には、「タコス」だの「ビーフステーキ」が新たな郷土料理になってたりと、少し悲しい現実はあるにせよ、伝統料理がそれで駆逐されたわけではありません。
なにかのヒントがあるとしたら、沖縄料理にあるのではないかと考えています。

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2007年07月11日

和食の味つけ


魚料理の基本【四】
基本の合わせ調味料



味をつける事を、『あたりを付ける』と言います。
関東と関西、九州と北海道では当然ながら味付けも違いが出ます。

これは自然な事で、大企業が作る画一的なインスタント食品の様に、規格統一された全国一律の味のほうがむしろ不自然だと思います。

ですから【基本的な和食の調味割合】も絶対ではなく、環境等に合わせて変えるのが望ましいと考えます。全国の和食店が同じ味になって行くのは、ある面で「文化の崩壊」でもあるでしょう。

同じ系列の和食チェーン店があるとしましょう。
その系列の店が全部同じ味になるのが、経営サイドには理想というか絶対条件になるでしょう。

しかしそうはならないのが料理というものなんです。
絶対に同じ味にはならないし、ならない方が正しいのです。

もし同じ味になりえるのなら、料理人は必要が無いとも言えます。

そしてその同じ規格で同じ味のものは、「料理」ではなく「商品」であり、「食品」でしかありません。
企業というものは、その状態になるのを本質的に望む存在でもあります。

現在の社会はこの流れに乗っているからこそ、家庭から鰹節が消えたりもしているのでしょう。
料理の原点に立ち返って下さる方が増えるのを望むばかりです。


例えば天ぷらつゆや蕎麦つゆは、【出汁4・味醂1・濃口醤油1】これは全国共通ですが、これをそのままの配合で使用するのは少し淋しい事でもあると思います。
この割合はあくまでも基本であって、絶対というものでは決してありません。
醤油を淡口と濃口で割るとか、酒や旨味塩を少量加えてみるとか、いかようにも変えてかまいません。

ですので、ここで取り上げる合わせ調味料の配合も、基本をおさえつつ、出来るだけ幅をもたせる様にしました。
基本を外さなければ、自分だけの【あたり】を見つけるのも、さして難しい事ではありません。





基本のだし



一番だし

水1・8リットル 昆布30グラム かつお節削り50グラム


昆布は前の晩から水につけておきます。
火にかけ沸騰直前に取り出します。
沸騰したら火を止めるか、差し水をして鰹節削りを加え、沈んだらアクを取り、静かに漉します。

二番だし

水1・8リットルに上のだしがらを加え30分ほど煮出し、追いガツオ(削り節)する。


一番は煮物や合わせ出汁用に使い、二番は煮炊き、味噌汁などに使います。
吸い物用にする場合は、昆布は真昆布1等か利尻昆布を使い、水に浸けるだけで加熱しません。鰹節削りも本枯れ節の雄節(背節)の薄削りを使用します。
この場合、水は水道水は使えません。ですがこれは例に過ぎません。

蕎麦用のだしは、亀節厚削りやサバ節を使い濃厚にとります。

煮炊き目的の出汁なら、昆布は羅臼昆布や日高昆布で良いでしょう。



合わせ(調味・割り)だし



吸地  だし3カップ 塩小サジ1 薄口醤油少量

八方だし だし8〜25  味醂0.1〜1 薄口醤油1

八方は基本的な地で、用途も多く、主に野菜の煮物に使います。
割合もそうですが、八方(多方面)に使える便利さからの名です。
だしを加熱して味醂、醤油を加えます。
濃口醤油に変えて濃厚にすれば「濃口八方」に
だし10に味醂0.5、塩、薄口醤油を微量にすれば「吸地八方」に
これは青野菜の下味によく使ます。

他に、だし8 酒2 味醂1 醤油1の「酒八方
味醂の量を増やす「甘八方」などもあります。

浸し地 だし8〜15 味醂0.1 薄口醤油1

野菜を薄味に仕上げる地です。

旨だし だし3〜6  味醂1 濃口醤油1

いわゆる「煮物」用の調味です。
材料に色をつけたくない場合は薄口醤油に、魚介を加える場合だしを酒で割ります。

煎りだし だし5 味醂1 薄口醤油1

魚貝の唐揚げなどに薬味とともに出すタレになります。
つまり唐揚げ用の天つゆ。

天だし だし4 味醂1 濃口醤油1
もっとも基本的な「濃い旨だし」で、天つゆ他蕎麦つゆなどの基本配合です。
出汁を減らしたり、調味料を加えたり、好みで加減します。



薄い合わせだしに、水溶き片栗粉や、葛を加えれば「吉野餡
吉野あんを薄く作れば「銀あん
濃くすれば「醤油あん」または「べっこうあん
赤梅肉と砂糖を入れれば「梅肉あん
冷たい料理にはゼラチンを加え冷やし固めたものを。

料理の趣向で、食材に合わせて、色々使い分けます。続きを読む





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2007年07月10日

魚料理の基本三


【揚げる】

衣を使わず「素揚げ」するのと「衣揚げ」の二種があります。
油で揚げるだけの単純な料理で、これを難しくする原因は次の三つ。

1 材料を知らず、適した下処理が出来ていない
2 衣の知識が十分でない
3 油の性質を理解していない

つまりこれが全部逆転すれば揚げ物は簡単になるという事です。

1ですが、それぞれの食材で仕方も多少違いますけれど、

余分な水分を抜いておく
急激な温度変化で変形しない工夫をしておく
(イカなら切り目を、エビなら伸ばしておく等)
(シシトウ等空気を含むものはパンクしますので串等で穴を)
この二つが基本です。

2は天ぷらが代表ですが、空揚げ、変わり揚げなども衣を使用します。
天ぷらですと、衣を重くする原因は小麦粉のグルテンでして、これが少ない薄力粉を使いますけど、かき混ぜが過ぎたり、温度が高いと粘りがでて重くなる性質は同じで、粉も卵も水も冷やしておくと、これを回避できます。
同じ理由で、揚げる直前に衣を作るのが理想です。

新鮮な材料(活エビや新鮮な白身)は短時間で揚げて火の通りを押さえたいので、衣を薄めに(粉を減らす)し、逆に冷凍品や鮮度が落ちているものは衣を厚くします。
シソの葉やノリなど薄い材料は、片側だけに薄く衣をして揚げると曲がったりしません。

衣は小麦粉、片栗粉、葛、上新粉など色々ですが、さっくり揚がるけどコゲやすいのが小麦粉でして、長時間じっくり加熱するには片栗粉などを使用します。

3は油の温度を一定に保つのは意外と難しいという事です。
魚介類は火が通りやすいので、170〜180度の温度で手早く揚げるのが基本ですが、冷凍したコロッケなどをパンクさせずに揚げるには160度くらいの低温でじっくり揚げないといけません。
揚げ温度はその料理を左右する大事な要素だという事です。

厚い揚げ鍋で
たっぷりの油で
材料を油表面の三分の一以上入れたりしないで

温度を一定に保つのが大事なポイントになります。

酸化した油は揚げ物にも適さなくなるし、身体にも良くありませんので、使用した油は熱いうちに漉して、光と空気を遮断して保存します。
漉すときに鍋底に残る油は捨てましょう。
数回使用した油は、光にかざして透明度を見るか、臭いをかいでみて、変質してる様なら処分しましょう。

油の種類は多数ありますが、動物系と植物系に分けられます。
こってりとした揚げ物は動物系が合うし、あっさり仕上げる場合は植物系。
野菜なら植物系、肉なら動物系が相性が良いですが、それほど拘る必要はないでしょう。大事なのは新鮮さです。
ちなみに天ぷら油の最高峰は太白の胡麻油だと考える職人が多い様です。


基本の天ぷら衣
薄力粉200グラム  水360ml 卵黄1個
すべて冷蔵庫で冷やしておき、水に卵黄を入れ、振るった粉を加え荒く混ぜる。
薄い衣は粉を180グラムに減らす。

基本の天つゆ
出汁4 味醂1 濃口醤油1
熱すぎても冷たくても良くないので、人肌くらの温度で使用する。

揚げたての天ぷらは塩がよく合います。
塩3 旨味調味料1をすり鉢で当たり、振るった「うま塩」や、
岩塩をおろし金ですりおろしたもの等を少量つけて食べます。

酒、味醂、醤油で下味をつけて揚げる【竜田揚げ】(たつたあげ・くずあげ)も、【唐揚げ】も揚げる基本は同じ事です。
注意点は、粉が散って油が汚れないように、また粉が焦げない様に、粉は薄くつけてしばらくなじませて、揚げる温度は低めの160度でじっくり揚げ、取り出す直前180度に上げてカラリとさせます。

天ぷら等揚げ物各種はこの記事から

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2007年07月08日

魚料理の基本二


【二】魚を焼く


塩焼き

簡単で難しいのが魚の塩焼きです。
魚に塩を振って焼くだけの料理ですが、塩のしかた、串の打ち方、焼き方で仕上がりに歴然とした差がでてきます。
代表的な『眞鯛の姿焼き』を例にしながら説明します。

塩振り
塩は食卓塩(精製塩)で は美味しく焼けませんので、ミネラルがなるべく自然の海水に近い配合で含まれる天然塩を使います。
もう一つ、湿った塩でも上手く焼けませんので、焼き塩か、粗塩を干して乾燥させるか煎ってからサラサラの状態にしてから使います。

串打ち
魚の裏側に数本縫い串を打ちます。
魚をうねらせながら表面に串を出さない様にしっかり安定するように打ちます。
塩をするタイミング
小型の魚以外は焼く直前に塩を振る事はしません。
塩が全体に回りきれないからです。
300〜500グラム前後の小ぶりな鯛でも、焼く1〜2時間前に塩を振っておきます。
1キロ以上の大鯛は3時間以上前に塩を振っておくか、海水濃度の塩水(立塩)に浸けておきます。立塩に昆布を加えておくと旨味が増します。
鮮度の良いもの程塩が早く回りますし、脂の強いものは時間がかかりますので、魚の状態で加減します。

魚、特に鯛は眼と目玉の周囲が旨いものです。
塩を振るときに眼の上に塩を乗せておき、塩分を浸透させておきましょう。
焼く直前に落とせばよいです。

針打ち
そのまま焼くと皮が膨張して、その部分だけが黒く焦げてしまいます。
そこで塩をする前に数本の金串で魚をブツブツと刺しておく『針打ち』をしておきましょう。その後塩を振ると塩がよく回ります。これを『くい塩』と言います。

**この後卵白を泡立てて塩と片栗粉を加え、若芽や昆布で包んだ鯛を覆い、焙烙などに入れオーブンで焼き上げるのが【塩釜焼き】です。(焼き時間は約1時間)

焼く
焼きにかかる前に化粧塩をします。
ヒレ(背、胸、尾)にたっぷりと塩をすりこんで焦げ付きを防止します。
背ひれの一番頭に近い側のトゲをハサミで切り取り、二番目のトゲの根元に突き刺して背ひれ全体を立てます。
盛るときに表になる面の胸ヒレの一部を裂き、その部分をエラ蓋に入れて胸ヒレがしっかり立つようにします。その後エラブタが開かないように竹皮などで縛っておきましょう。
火加減は強火の遠火
表側から焼き始めてそこを4、返して裏を6の加減で焼きます。
盛ったときに表になる面を美しくみせる配慮からです。
*焼き時間は状態でバラツキがあるので一概に言う事はできませんが、途中で確かめようと魚を動かしてはいけません。
焼き上がりの目安として化粧塩の乾燥状態を見るとよいでしょう。
カラカラになればほぼ焼けています。

鯛の姿焼きは焼きたてを食べるというのは、めったにありません。
時間が経過します。
照りをつけておくのも工夫のひとつ。
焼き上がり直前、卵白をハケでぬって照りをつける場合もあります。


家庭で塩焼きを作る場合、殆ど上火になってしまうと思いますが、上火では魚の持ち味を堪能出来ません。
美味い焼き物を食べるなら焼き網を使って下火で焼きましょう。
焼き網を二枚重ねれば、「強火の遠火」で焼けます。


つけ焼き・照り焼き・その他
つけ焼きを
幽庵焼き】とも言います。
つけ醤油の基本は【酒1 味醂1 醤油1

この地に香りつけの柚子を入れたものは『柚庵焼き』の字を当てたりします。
切り身をこの合わせ醤油にしばらく浸けてから焼きます。
脂の強い魚、青魚などはタレがのり難いので長めに浸けたり、霜降り等で脂を抜いてから焼くとよいでしょう。
串の無いご家庭などでやる場合、ボール等にこのタレを入れて焼き網のそばに置き、菜箸などで数回このボールに切り身を戻しながら焼き上げるとよいと思います。

基本のタレに氷砂糖、ザラメ、焼酎等で甘みを増してやり「たまり」などを加えて濃度を強くして「照り」を強調するのが【照り焼き】です。
脂の強い魚が適しますので、薄塩を当てて暫らくおいておき、脂と水分を抜いてからつけ汁につけます。
ご家庭では焼き網よりも鍋の方が良いでしょう。
テフロン加工等のフライパンで手早く作れます。(底浅鍋なら何でもよい)
先の切り身(ブリやカジキ等)をつけ汁から出して、余分な汁をふき取って小麦粉を軽くつけます。
両面に焼きめを付けたらつけ汁を入れからめます。
いったん魚を取り出し、汁だけ煮つめ、煮詰まった汁に魚を戻して再びよくからめます。

穴子、ウナギ、ハモ、サンマ等は脂抜きに『白焼き』します。
その後ハケで数回タレをのせる作業をして仕上げます。
これが【蒲焼】になります。

酒と卵黄、薄口醤油少量でのばした味噌に木の芽、柚子、タデ等を加えた『田楽みそ』をのせて仕上げるのが、【魚田】です。
薄めの塩で焼いた塩焼きの魚の表側に味噌を乗せて、軽く焼き目をつけるだけです。
青魚は赤味噌を使うなど臨機応変にしましょう。

味噌を酒と味醂でのばし、魚の切り身を「どぶ漬け」にして焼くのが、【西京焼き】です。塩分の強くない白味噌を主に使うので「西京」の名を使うようです。
クセの強いサメ、や赤エイ等は赤味噌が適してますが例外。
焼く前に余分な味噌をふき取って焼かないとコゲます。
どぶ漬けと言っても、ガーゼやキッチンペーパー等でサンドして漬けると、拭き取る手間が省けます。

カマス、エボダイ、サワラ、マナガツオ、アマダイ等は身に水分が多く刺身でも食べられますけども、干して水分を抜き、焼いた方が持ち味を堪能出来ます。一汐焼きですね。
二枚か片袖に開いた魚を酒塩(塩をあて暫らくおき、酒で洗う)し、数時間日陰で干してから焼きます。
京都ではアマダイをグジと呼び、グジは若狭の名産でもあったのでこの焼き方を【若狭焼き】とも言います。
グジのウロコは細かく、取らずにそのまま焼いて食べます。そのためこんがりと焼き上げましょう。


以上の基本的な焼き方が出来れば、変わり焼き【磯部焼き】【黄身焼き(黄金焼き)】なども応用で焼ける様になります。




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posted by 魚山人 at 13:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 和食料理の基本 | 魚山

2007年06月19日

かつらむき

包丁の技術を身につける一番よい方法が【かつらむき】です。
剥き物の基本ですし、すべての包丁使いの基本にもなります。
いかに大事な基本であるかは、代用できる便利な器械が沢山あるのにも関わらず、現在でも和食を志す者が必修の様に練習を続けている事からも伺えるかと思います。

人参、胡瓜、大根などを、5センチから15センチ長さの筒にして、回しながら薄く紙状に剥いていきます。
やってみると分かりますけども、薄さを保ちながら、切り離さない様に剥き続けるのは容易ではありません。

和包丁でも一番薄くて刃の鋭い「薄刃」を通常使います。
薄刃の刃線は完全な直線ではなく、その他の包丁も同じ。従って、薄刃の下部を使うとよいです。ここは直線に近い。
その他、手首を固定してぶらさない事、親指の腹に意識を置くこと、本剥きに入る前に野菜を「真円」にしておく事。
など、要領みたいな事は色々ありますが、残念ながら「コツ」はありません。

集中して数をこなし、手に憶えさせる以外に上達はありません

言葉や映像で伝えられない種類の最たるものかも知れませんね。

コツというか注意点を書いておきます
大根はデコボコがあります。そのまま剥いてもうまく出来ません。最初に皮を剥くときにそのデコボコを修正してしまいましょう。
かつらむきのコツ1

滑らかな円にしてから剥きにかかります。


下は基本的な持ち方です。
*右手は撮影で写っていません。左親指の下に右親指も来るように(下画像)


最初から薄く剥くことばかり考えたら絶対上達しません。
練習期間は薄く剥く事よりも、「切り離さないで最後まで剥く」ことに意識を集中させましょう。
徐々に慣れてきたら薄くしていきます。



桂に剥いた大根は、繊維を切断するごとく「横打ち」にしますと、口あたりが柔らかく、食べやすくなりますので、汁の実や和え物に。
また繊維にそって「縦打ち」にすると、シャキシャキになりますので、サラダ等や刺身お造りの縦づま「けん」に適します。

大根の桂剥き






何故「桂剥き」と呼ばれるかは諸説あります。

●木質が柔らかな桂の木から
●平安から室町時代の行商人「桂女」(かつらめ)頭巾から
●能の装束「かずら帯」(はちまきの様に額にまいて後ろに長く垂らすもの)から

などの由来がいわれますけども、どちらが事実にしても納得できる説ではありますよね。


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