2016年01月05日

蠢動

新年早々気持ちの悪いニュースが流れている。


高市総務相が、総務省の仕事始め式でマイナンバーカードと各種ポイントカードを一本化できないか検討するよう指示したというもの。

「一本化できないか検討するよう」にと言いながら、「来年春以降の実現を目指す」という性急さもあり、実は既定路線であるらしいことを覗わせる。

大臣の指示というより、総務省官僚が既に青写真を描いてあるのだろう。そういえば、マイナンバーカード導入がまだ検討されている段階で、既にこうした話が出ていた気がする。

総務省官僚は、「磁気カードからICチップ入りカードに移すための莫大な投資を行わずに済む。だから企業にもメリットがある」という言い方でポイントカード本来の目的である「客の囲い込み」はどうなるのだ? という疑問を躱そうしているらしい。


マイナンバーというのは、ご存知のように国民ひとり一人に割り振られた固有番号であり死ぬまで変わらない。生年月日はもとより、収入、資産、病歴などともひも付られる予定の、いわば「究極の個人情報」である。

そのように大事なものであるからこそ、最高機関である国家が管理するのであり、これはつまり「明らかに公的なもの」と言えよう。官公庁が責任を持って厳しく運用するべき「無私の認証制度」であって、利潤を求めて盛衰を繰り返す民間企業がタッチしてもよい制度ではあるまい。

それをあっさり「民業」に投げようというのである。
しかも「個人情報の横流し疑惑」が定期的に持ち上がるポイントカード業界と融合させようと。

総務省が直接管理できるわけもなかろうし、天下り法人をつくりそこに管理させるか民間業者に委託することになる。もしもの場合責任は誰が取るのか?


何十年も前から、国が音頭を取って民間に介入してくる例は数多い。しかし漏れ無くというか殆どの場合失敗に終わっている。官僚が無能というよりも、制度に問題があるからそうなる。

「縦割り縄張り主義」「渡り鳥的移動の繰り返し」そして「誰も責任を取ろうとしない」こうした構造的な因子により、官庁が関わる事業は必ず瓦解するか赤字になるのが相場である。

そして、その赤字は毎度毎度税金によって補填される。
その頃には責任者は消えていて、どこかに天下り。



たしかに、マイナンバーカードと数多いポイントカードが一本化される事でいっけん便利になるような気がする。
が、よく考えると国にとってはメリットだらけでも、使用者である国民には何のメリットもあるまい。



このニュースは、よい試金石になると思う。
この話をマスコミがどう扱うか、それによってこの国の民度がはっきりするからだ。

どう考えても政府が叩かれるべき案件であり、少し考えればマイナンバーカードの裏側が透けて見える話なのだ。

パッシングらしき動きが一切封じられ、全マスコミが口を閉ざしてサラリと流すようであれば、もう重症としか言えまい。


「はいそうですか」
「便利になって良いですね〜」
そういう声のみを世論として押し通し、またしてもろくな議論もないまま成立させてしまうような国だとしたら、

もはや本気で移住先の段取りを始める段階なのかも知れない。




大寒まで間があり、啓蟄はまだかなり先だというのに、この政権(と霞が関)は、生来のドグマの蠢動を隠し切れないようである。

posted by 魚山人 at 23:13 | Comment(7) | 時事ニュース寸評 | 更新情報をチェックする