2013年09月04日

「世界の警察」、敵は厭戦感情

アメリカが微妙なことになっている。
大統領の口からシリアへの軍事介入を明言しておきながら、行動に移さないという、今まであまり例がない事態。

盟友イギリスのドタキャン、米国内で反対の多さ、これはかなりの誤算というか、ショックであろうことは容易に想像できる。

米軍単独(イスラエルの支援有)での攻撃も、やろうと思えば簡単であろう。

しかし「予測ができない事後」のリスクが大きすぎる。
ヘタをすれば米国とイスラエルだけが孤立する最悪のパターンだってあるだろうし、「ビンラディン殺害のような電光石火の作戦」が成功せずに泥沼の入り口になったりすれば、オバマは議会から責められて苦境に立たされる。

したがって議会の承認を得るなどと悠長なことを言い出したわけであろう。だが議会はオバマにとって御しやすい相手ではなく、「引き込み」の思惑が外れて混迷を深める可能性もある。いずれにしても先が見えない展開になってきた。

問題はこの「先延ばし行為」が世界中で「アメリカの衰退」「弱気」と受け止められたことだ。

「弱気」とみなすのが金融証券市場だけならばよい。
世界には軍事独裁国もあれば武装集団もいる。
警官が腰抜けとみれば犯罪者が台頭するのが常。

いまさらアメリカがしおらしく善良なフリをしてみたところで、「今までさんざんドンパチしてきたツケ」が消えるわけではなく、アメリカを恨む人々が過去を忘れることもない。

今の段階で米国が脆弱さを晒せば、逆にテロや紛争が増えるだけである。
どっちみち「今現在も戦争中」なのであり、アメリカ国民がその現実を忘れようとしても、それは許されない。


だからと言ってアメリカの戦争に賛成するわけではない。過去が過去だし、特にイラクの時は世界中が嫌悪を感じた。その後のイラクやアフガンの状態をみれば「何も解決できない米軍」と言うしかあるまい。


しかし、では市民を虐殺し続けるアサドとその軍隊を放置しておいていいのか?
毒ガスの真偽は兎も角、虐殺は事実である。

「自分でなんとかしろ」というのは簡単であり、実際にそうして放置してきた結果が子供を含む数万の死者であり、膨大な難民なのである。

これ以上「自分でやれ」というのは、「みんなアサドに殺されてしまえ」というのと同じこと。



ここで思うのは、「国連はいったい何をしているのか」ということ。

国際連合とはいえ、現実には常任理事国を柱とする大国の思惑に振り回される「権限のない飾りのような組織」であることは理解している。

でも条約上かなりの権限を有しているのであり、資金も豊富で、「軍隊」まで存在する。

なによりも強いのは【世界のどの国よりも行動に大義名分がある】というところ。
これはリーダー次第でかなり大胆で効果のある行動が可能であることを意味する。


ところがその「リーダー」ときたら・・・・

国連は今や存在しないも同然に・・・・歴史的にレベルの低い国連事務総長のなかでも際立って無能な事務総長『潘基文』 newsweekjapan
※この記事を書いた記者は、何か個人的な悪意でもあるのか? そう思うような批評だが、「完全なデタラメ」をnewsweekが掲載するわけはなく、事実関係は間違いあるまい※

今回のシリア問題でもやはり総長のスタンスは変わりなく、アメリカに気をつかうだけで何ら問題解決に向けた主体的な言動はみられない。



もし『緒方貞子』が事務総長であったなら、
「いかなる理由があろうと市民の虐殺は許さない」
それで周囲を説得し、前例にとらわれず、リスクを恐れず、即座に軍を展開させて市民保護に全力を挙げていたかも知れない。

もちろん緒方本人も、トルコ国境あたりの難民キャンプに向かったであろう。緒方はそんな国連難民高等弁務官だったからだ。

組織というのはトップ次第でまるで違う姿になる。



シリア難民が200万人超える、UNHCR発表【9月3日 AFP】


国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は3日、内戦で荒廃したシリアから周辺国に逃れて難民となった人の数が200万人を超えたと発表した。難民の数はこの1年で10倍近くに増えた。

 UNHCRは声明で、2012年9月3日の時点では23万671人が難民として登録されていたと指摘しながら、着替え程度しか持たない多くの人々が国境を越えてシリアを後にしていると述べた。

 また、2011年3月に紛争が始まって以降の国内避難民は約425万人に上り、自宅を追われた人の数は合計620万人に達している。紛争以前の人口が2080万人だったことから、国民の約3分の1がそれまで暮らしていた家から避難した計算になる。これほどの規模で難民・国内避難民が発生している国は他にない。(c)AFP



posted by 魚山人 at 00:15 | Comment(2) | TrackBack(0) | 時事ニュース寸評 | 更新情報をチェックする